平行線を辿る日々



好きやて気付いたからってどうこうなったわけやない。
相変わらず朝は話しとるけど他に何かあるわけやなし、
収穫と言えば月城が料理部でめっちゃ料理上手くて、弁当も自分で作っとるとか、
俺と同じで邦楽よりも洋楽が好きやとかその程度のもんや。

「今日の弁当も自分で作ったん?月城」
「せやでー今日は野菜中心や」
「彩り綺麗やん」
「せやろ?今日のは自信作やねん」
「お世辞抜きでめっちゃ美味そうや」
「もっと褒めたって!」
「アホ、調子乗んな」

購買で買ったメロンパンを片手に月城の弁当を眺める。
美味そうや、めっちゃ美味そう。
栗の甘露煮が俺を呼んどるわ。
ガン見してたら月城が気付いたのかふっと笑って、食べたいん?と言った。

「食べたい言うたらくれんのん?」
「一口ならええで」
「ほな、甘露煮食べたい」
「ほんま甘いもの好きやね」

はい、と月城は弁当の蓋に甘露煮を載せて寄越した。
箸ないから堪忍な、と言って一緒にウエットティッシュも渡してくる。
抜かりないな。

「…ん」
「どや?」
「美味いわ、すごいなこれも自分で作ったんやろ?」
「こないだ料理部でやっててん、せやから出来ただけやわ」
「大したもんやで」
「今日はぜんざいなんやで」
「ぜんざいやと!?」
「へっ!?お、おん」
「ぜんざいって白玉ぜんざいか?」
「ぜんざい言うたら白玉ぜんざいやろ」
「それ余分に作らんのん?」
「ん、いやまあ一杯くらいなら余るんちゃう?もしかしてぜんざい好きなん?」
「めっちゃ好きや」
「せやったら、余ったやつあげるわ。今日部活ある?」
「あるで!」
「ほな、終わったら持ってくわ」
「おん」

思いがけず、月城からぜんざいを貰うことになった。
ぜんざいは元々好きや、せやけど月城の作ったやつとなったら美味しさはその二倍、三倍やろ。
思わずニヤニヤしてしもたんやけど、月城はぜんざいめっちゃ好きなんやなぁとのんびりしていた。
お前から貰うからやっちゅーねん、アホ。










平行線をたどる日々
(こんな日常も悪くない)



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