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なまえside


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夏の日差しの中、3人で俯いていると、後ろからブーツの音と声が聞こえた。


「なぁんだ、いつもに増して辛気臭いな、恵。お通夜かよ?」


その声に振り向くと、そこに立っていたのは眼鏡をかけた、ポニーテールの綺麗な人だった。
高専の制服を着ているから、きっと先輩なのだろう。


「禪院先輩。」

「私を苗字で呼ぶんじゃねぇ!!」

「真希、真希!!!」


禪院先輩と呼ばれた人が叫んだ後から、小声で囁くような声が聞こえる。その声の主を見ると、木陰に幾分か小柄な白髪の男の人と…パンダが立っている。


「知らないのか?こいつらが沈んでるわけ!!!」

「なんのことだ?」

「マジで死んでるんですよ…昨日…1年坊が1人!!!」

「おかか…」


そう言ったパンダさんの言葉で、また虎杖くんを思い出す。鼻がツンとする特有のものを押さえ込んで、先輩方であろう方々に向き直る。


「早く言えや…!!!これじゃ私がただの鬼みたいだろ?!!」

「いや実際そんな感じでは?」
「ツナマヨ。」




「…何?あの人たち。」

『…先輩?』

「あぁ、2年の先輩。…眼鏡をかけてる人が禪院先輩。呪具の扱いなら学生1だ。

白髪の人が呪言師、狗巻先輩。語彙がおにぎりの具しかない。

で、パンダ先輩。

あと1人、乙骨先輩っていう唯一手放しで尊敬できる人がいるが、今海外。」

「…アンタ、パンダをパンダで済ませる気か?」 


当たり前のようにパンダと言い放った立ち上がって先輩方に向き直る。私と野薔薇ちゃんも、先輩方の方に体を向けた。


「いやぁ、すまんな…喪中に。すまん!この通りだ!…実は、お前たちに京都姉妹校交流会に出てほしくてな?」

「『京都姉妹校交流会?』」


聞き慣れない単語に首を傾げると、伏黒くんが説明をしてくれる。


「京都にあるもう一校の高専との交流会だ。…でも、2、3年メインのイベントですよね?」

「その3年のボンクラが停学中なんだ。だからお前ら出ろ。」

『はぁ、なるほど…』

「その交流会って何するの?スマブラ?Wii版なら負けないわよ、メテオで吹き潰すの!」

「なら3人でやるわ。」


野薔薇ちゃんの発言は無視され、パンダ先輩が少し笑いながら詳しく説明してくれる。


「交流会は、高専の東京校、京都校の学園長が考案した勝負方法を1日づつ、2日間かけて行う。つってもそれは建前で、初日が団体戦、2日目が個人戦って毎年決まってる。」

「しゃけ。」


パンダ先輩の話に相槌を打つかのように口を開く狗巻先輩の語彙は、相変わらずおにぎりの具だった。…不思議だけど、今はそのことじゃないか。


「団体戦、個人戦って…戦うの?!呪術師同士で?!!!」

「あぁ。殺す以外なら何をしてもいい呪術合戦だ。」


すごく楽しそうに口角を上げた禪院先輩の横で、パンダ先輩が軽く拳を握って戦闘のポーズを取る。


「逆に殺されないように、みっちり扱いてやるぞ!」

『…というか、そんな暇はあるんですか?人手不足なんですよね、呪術師って。』


そう質問をすると、パンダ先輩が分かりやすく解説をしてくれる。…確かに、冬場の負の感情が初夏に大爆発するのならこれからの時期はだいぶ落ち着くのかな。


「年中忙しいって時もあるが、ぼちぼち落ち着いてくると思うぜ。」

「へぇ…」

「で?やるよな?…仲間が死んだんだもんな?」


したり顔で笑う禪院先輩に、3人揃ってやる、と口を揃えて言う。
…私は、もっと強くならないといけないんだ。その為ならなんだって…!!!


『…私たち、もっともっと強くなりたいんです。』

「だから、しごきも交流会も意味がないと思ったら即辞めるから。」

「同じく。」


私たちがそう口を開くと、先輩方は楽しそうに笑って、また口を開いた。


「まぁ、それぐらい生意気な方がやりがいがあるよな。」

「おかか。」


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『あれ、伏黒くんどこに行くの?』

「…櫻井か。」


2年生の先輩方に特訓してもらう為に私たちは着替えてグラウンドへ出ようとしてた。だけど、1人制服のままでどこかへ行こうとしていた伏黒くんを呼び止めると、少し悩んだ後に口を開く。


「少し、行かないといけない所があるんだ。…先に始めててくれ。」

『……そっか。うん、先に行ってるね。気をつけて。』

「…あぁ。行ってくる。」


校門の方へと向かう伏黒くんの背を見送る。
…チラリと見えただけだったけど、何かの布の様なものを大事そうに持っていた。おそらく…あの少年院の人の…
そこまで考えてから、緩く頭を振って考えるのをやめた。私が踏み込む話では無いし、少年院は…嫌なことを考えてしまうから。

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