仕事をしよう

「お前らが代理だぁ?おいチビ共、ここは遊び場じゃねぇんだよ。さっさと失せねぇと殺すぞ!」

「ねぇシロナ帰ろうよ。あたしこんなザコそうなハゲの言う事なんて聞きたくないんだけど」

「シズクちゃん、相手に失礼な事は言っちゃダメっていつも…」

「大丈夫、聞こえてないからセーフだよ」

「思いっきり聞こえてんだよ!!大人舐めてっと痛い目見るぞクソ餓鬼共!!!!」

「ひぃっ、ご、ごめんなさい!!ほら、シズクちゃんも!」

「え、謝る必要あるの?」

ぽろっとこぼれた彼女のウルトラKYな発言により、空気がどっと重くなった。ここに来てまだそんなに時間が経っていないのに胃がキリキリと痛みだす。
あぁ、そういえばどうしてこんな状況になったんだっけ。

  

事の発端はつい昨日のことだ。
「シロナ、シズク。ちょっと頼みたいことがあるのだけれど」

そう言ってマリア先生は、ある仕事の人員に急に穴が空いてしまったということを私達に説明した。

「と、いう訳で代わりに貴方達2人にその仕事をやってもらいたいのよ。」

念能力を習得した流星街の者は、紹介人に仕事を紹介してもらえる。勿論ファストフード店でゼロ円スマイルを提供する店員さんみたいな平和な仕事ではなく、俗に言うヤーさん(死語かな?)関係のお仕事だ。

ずっとシスターだと思っていたマリア先生だったが、実はその紹介人だったのだ。まぁ冷静に考えればあんなゴミ山にシスターなんている訳ないよね。
先生からの頼みだし、報酬もきちんと貰えるということだったので仕事を受けることにした。

「で、なんのお仕事ですか?」

「明日から1週間、ザクトファミリーの護衛よ。相手方に失礼のないようにね」


そんなこんなで今に至る訳だが、これから1週間、不安しかない。護衛の方は問題ない、と思う。確かに私とシズクちゃんはまだまだ子供だが、あの誘拐事件以来より一層訓練に励むようになったし、そんじょそこらの大人には負けないはずだ。それにもし危なくなったら逃げればいいわけだし。先生には悪いけど。

それよりも問題はー…

「チッ、マリアさんの紹介で来たのかよ。んだよ追い返せねーじゃねーか」

「だから始めにそう言ったのに。ちゃんと話聞いときなよハゲ」

「うるせぇ!俺はお前らを雇ってんだぞ!言うこと聞かなかったらぶっ殺すからな!!!!」

この2人だ。空気の読めない超天然ガールシズクちゃんとこのヤーさんを形どったようなスキンヘッドさんは相性が悪過ぎる。

神様、お願いだからこれから1週間何も起きませんように。