▼ チーズドック
【side 美月】
大好きなゆき乃さんに一週間一緒に過ごそう!って言われてホイホイついてきてみれば、そこにはあたしがお気に入りの中島颯太くんやら、ゆき乃さんのお気に入りの八木勇征くんやら堀夏喜くんやら、その他いっぱいイケメンがいて。
これから一週間堀夏くんの別荘で一緒に過ごすとかそんなことを言われ、まだ現実を受け止められていなかった。
ものの、何故か車はゆき乃さんと離れ離れにされ、あげく黎弥先輩の荒々しい運転に若干酔い気味。
パーキングエリアで外の空気に触れ、ちょっと復活したあたしに、中島颯太くんが笑顔で「チーズドック食べよ。」なんて誘い文句。
いやいやあたしはあんたが食べたいから!!なんて心の声は当然の如く閉じ込めた。
「1個食える?」
「無理。」
「ほな、2人で1個やんな。」
ニカッて笑って買ってくれた中島颯太くんは、熱々のそれをあたしの口元に持ってくる。
「え、先に食べてよ。」
「ええのん?」
「うん。」
「ほんならいただきまぁーす!」
可愛い顔でパクってドックを口に入れて中のチーズを思いっきり伸ばす姿もやっぱり可愛くて。
ゆき乃さん!あたしどーしたらいい!?
思わずキョロキョロ辺りを見回すと、ちょっと離れた後ろに堀夏くんとゆき乃さんの姿。
思いっきり目をしばたかせるも、2人には届かなくて。なんなら堀夏くんはサングラスかけていて、ゆき乃さんもかけていて…
「うまいで、美月ちゃんも、はいあーん。」
中島颯太くんが今度こそあたしの口元に運んできたそれを仕方なく中島颯太くんの腕を掴んでパクっと食べた。
「んーー」
思ったより伸びるチーズに顔がブスになってて恥ずかしくてバタバタすると、不意に肩に手が触れたと思ったらドアップの中島颯太くん。
えっ!?そう思った時にはチーズを舌でぺろりと持っていってくれた。
え、え、え、ちゅーしそうだったけど!?
「ふふ、うまい。」
仔犬みたいに笑ってるけどあたしの心臓は物凄い勢いでバクついていたんだ。
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