Summer | ナノ


▼ 13

サワに言われた快感がよく分からないまま倉庫につく。

うちのチームの頭脳犯でもあるやましょーがあんなことになって、今だその売人の女が見つからないままだった。

毎夜毎夜、クラブで情報を集めているのにこれだけ見つからないのってなんかあるんだろうか?そのせいで、健太は最愛のネコに一方的に別れを告げられ、常にイラついているからこの倉庫もすこぶる空気が悪かった。

こういう時、いつだってやましょーが場を和ませてくれる、そんな存在だったのに。

一つ溜息を零した後、ボボボボボボボって低音とドでかいバイクが倉庫に入ってきた。ネコをバイト先まで送った陸が戻ってきたんだと。私を見て自嘲的に笑うと小さく首を横に振った。

たぶん健太にネコの様子を見てこいって言われているんだろう陸は、優しい性格だから健太の話も出していると思うけど、首を振るってことは、その話にはネコは応じない…ってこと、だよね。

膝を抱えてそこに顔を埋める私の隣に誰かが座る気配がしたけど、そのまま動けなくて。


「ゆき乃さん!気晴らしにドライブいかはります?」


聞こえた声に顔を埋めたまま首を横に振る。


「そんな塞ぎ込まんと、僕んこと頼ってください。」


…だから首を横に振るとポンって頭を撫でられた、ちょっと遠慮がちに。

だけど、


「陣さん、ねぇねから離れて。」


マサの声が聞こえて顔をあげるとニッて白い歯を見せた。

マサより陣のが年上だけどここでは健太の次にマサが偉いからみんな従うわけで。


「相変わらずねぇねのこと好きなん?」
「…相変わらずちゃうわ。ずっと好きやし。」


話しかけといて私を連れ去るマサに、後ろで陣が何かを叫んでいたけどそのまま私はマサのバイクの後ろに乗っかった。

何も言わないでも気持ちを理解してくれるマサは、いつだってこうして私を気分転換に連れてってくれる。





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