07.火照った頬

この前、東堂くんに図書室の本の整理を手伝って貰った後にお話していた時、東堂くんの自転車競技部の話しになって

それで話の流れで1度試合を見に来ないかと誘われた

小さな大会で箱学からは数人しか出ないらしく
見易いと思うと言われて、思わず行きたい!と言ってしまっていた
いや、大きな大会でも小さな大会でも東堂くんの姿を見れるなら私は正直どっちでもいい

だから誘って貰えたことがとても嬉しくて仕方がなかった

その時に連絡先も交換して
時々LINEなんかもしたりして幸せな気持ちになる事も多くて

前に友達が東堂くんはなかなか連絡先は教えないらしいと言っていたのを思い出す

私は良かったのかな…なんて浮かれそうになるけど浮かれてはいけない、たまたまだ

そう思わなきゃ、浮かれて舞い上がって後から色々ダメージを受けたら…
私は恥ずかしさとショックで死んでしまうだろう

東堂くんに誘われた大会の当日

何を着ていけばわからなくて結局無難に制服を来て会場にやって来た

東堂くんはどこだろう?
そう思ってスマホを取り出して連絡しようと思ったら後ろから肩をポンと叩かれて
振り向けば東堂くんで…
驚きで心臓がギュッとなったけど顔を見て少し安心した

「来てくれたんだな、休日なのにありがとう」

「ううん、ちゃんと見てみたかったから楽しみだったんだ」

「そうか。なら良かった。ゴールで待っていてくれるか?すぐに登ってくるよ」

「うん、わかった」

自信あり気なその顔もいいなぁって思う
きっと本当に強いんだろうな
不思議と不安はなくワクワクした気持ちでレースを見れそうだ

「じゃあそろそろ行くよ。また後でな」

「うん、怪我には気をつけて行ってらっしゃい」

私がそう言ったら東堂くんはフッと小さく笑ってスタート地点に向かっていった


レースが始まってどれ位がたっただろうか
そろそろ来るぞー!と周りが騒ぎ出す
帰ってくる!そう思って見ていると少し遠くに人が見える

けど東堂くんじゃなくて
あれ?って少し動揺したのも束の間で

初めて見た時みたいにとても静かに、そして凄い速さで東堂くんが先頭を抜いて行った

そしてゴールラインに一番に到着して
周りからもの凄い歓声が上がる

微笑んで片手を挙げるその姿がとてもかっこよくて綺麗で思わず見とれてしまう

そしたら東堂くんがこっちを見る

そして私に指さして微笑んだ

その瞬間、私の中で周りの音が消えた
聞こえるのは自分の心臓の音だけで

熱くなった頬を抑えてみるもののいつまでたっても冷めそうになくて私は暫くその場所を動けないでいた







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