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2023.03.24
鏡のように澄んだ水面が広がっている。青年の瑪瑙のような不思議な輝きをした瞳には漂う灰色の霧が映り、蔭をさした。ただ茫然と俯瞰している青年を娘はひそかに嘲笑した。
木々に囲まれた湖の中心から天に向かうように切り立つ岩山。その頂きに城は聳える。そこの露台に二人はいた。青年は淡い橙の薄い衣を幾えにも重なった不思議な着物を着こなし、紗衣で出来た帽子を被っていた。娘は藍色の襦裙に縦襟の長い白い上着を羽織っている。緑のお下げ髪の一方を解く手を止めて、
「で、何をおっしゃりたいのかしら、柚瑪?」
娘は怪訝そうに首を傾げ、問う。
「言いたいことはない。ただ」
「ただ、って何かあるんでしょ」
「柳苛は柳笥に不安はない?」
「別にないわ、可愛い弟だもの」
「柳茗と同じ答えか」
「当たり前じゃない、私達、三人同じ時に同じ腹、乳で育ち、同じよう生かされてきたんだよ。それなら姉様に聞きなさいよ」
「恐らくだが、さほど代わり映えしない似た答えが返ってきそうだ」
「わかりきっているなら聞かないことね。自己完結してなさいな」
「……」
「で、戻るけど結局なんなの?」
「最近ざわつきが……いや、忘れてくれ」
青年は踵を返し、去っていった。
「そこまでいってくれちゃうと気になって仕方なくなるじゃないの。そもそも馬鹿にしてるのかしら、見下して、ふざけないで……たく、なんでわからないの? 何年そうやってんのよ。阿呆って治療薬ないのね」
激しく眉を寄せて、近くの椅子にドカっと腰を下ろし、
「それにわたしは柳苛じゃなくて柳茗よ。どうしてわからないのかしら? 髪型一つで間違えやがって、もう!」
at 18:54
2023.03.23
荒野の平地にぽつりとある木組みの砦。今にも降り出さんとばかりに黒ずみ重たく渦巻く雲とは反対にからりと乾いた風が吹き抜ける。
艶っぽい褐色の肌に灼熱を連想させる長髪と鋭く気の強そうな朱色の瞳が映えた。女は腕を組み、がらんとした荒野を見渡した。何もない、心中呟いて目を伏せた。
隣に並び立つ青年はそんな女の様子を盗み見て、嘲る。光沢帯びる朱色の単衣物を着て、大きな黒布の肩掛けを羽織っている。赤みがかった赤銅色の髪がちょこんと一つに結ばれていた、まるで尻尾のように。
「玻羽が還るかもしれない。凌燵」
「それで内陸に来たのか」
「……それは違うわ。それだったら宮の方がやりやすいに決まってる」
「じゃあなんで……わざわざこんな遠出を」
クスリと女は意味深で煽情的な笑みを一瞬魅せた。
「ここはあたしの骸が眠るであろう地だから」
「じゃあ、ここは肥沃な地に戻るのか」
「そうね、あたしが死ねばね」
「で、どこが干上がる?」
「教えると思って?」
「無理矢理にでも聞き出す」
「まあ、乱暴なこと。怖いわ」
言葉とは裏腹に表情は人間味を感じさせない。
「どうせ、度胸なんてないのはわかってるけど……死んだ後のことなんて誰だろうとわからないでしょうよ、あたしも例外なく」
「そういうものか、お前達も」
「あたしには子も居らぬし……まだ猶予はあるでしょうね」
腰の帯に挿してあった鉄扇を取り出して、口許を隠す。
「さて、帰りましょうか」
「もう帰るの? もう少し……」
「もう少し、なに? こんな何もない場所にまだようがあるとでも? あら、帰ったら説教が怖いのかしら」
「黙れ、そんなの関係ない。ここの者たちに声ぐらいかけてくる」
「待ってられないわよ、あたし」
女の言葉を無視して青年は立ち去った。やれやれ、と女は扇いだ。
「やっぱり、戦いの匂いがするのよね。玻国だけじゃないみたいだけど」
at 21:30
2023.03.20
少し幼さが残るが大人びた風を纏う少女だった。僅かに伏せ目がちでありながら、強く冷たい印象を受ける黄金色の瞳は、机上の剣を見下す。妖しく一閃、応えるように刃が光る。その刀身に映るのは、少女の面などではなく紫色の灯火。フ、と少女が嘲るように嗤うとそれはまるで蝋燭の火が消えるが如く消えた。スッと白い指が刀身を優しく撫ぜれば、剣は今一度輝いた。映ったのは、少女の背後の風景だった。
娘が訝しげな顔をして立っている。紺地の袴、片手には短弓を持って。
「金華(きんか)? 何をしているのですか?」
「綾鐶(りょうわ)ですか、あなた様こそどうなされたのです? こちらにいらっしゃるとはどういう風の吹きまわしでしょうか」
視線を流し、やんわりと少女は問い返す。
娘は高い位地で結っていた灰青色の髪を解き、少女に歩み寄る。ちらり、机上の剣を見つけると黒檀の瞳を細めた。
「綾鎗(りょうそう)様は?」
「さあて? そういえば、今日も会ってないね。姉さんは忙しい人ですから」
「そうでしたね。しかし、ここ最近はあなた様も忙しいのでは?」
「……ああうん、忙しくしときたいみたいだね。変なこと考えないよう」
「それは綾鎗様の配慮もありましょう」
「そうだね、だけどね、いい迷惑かなと。だから、直談判にわざわざ会いに来てやったんだ」
そういい、そろりと置かれた剣に手を伸ばす。瞬間、不可視な何かにその手は弾かれた。
「あなた様には無理でしょう、どう足掻いても。余計なことしない方が――」
釘を刺すように注意を口にするが、娘はそれを遮るように弓を鳴らした。
「もしかしたらがあるかもしれないよ……あれ、そんな顔しないでください、魔がさしただけですから」
どこまでも淡々と抑揚なく娘が言う。長い髪と昏い陰が顔を隠し、感情は窺い知ることは出来ない。
「この私がどんな顔をしている、と?」
少女の声は微かに震えてる。
「泣きそうでした。感情があるんですかね? 我が国竜にも」
振り返った娘の顔には満面の笑みが貼り付けられていた。少女は思わず、息をすること忘れた。ただ、胸の奥底から疼き湧いてくる得体の知れない何かを抑えるように自身を抱き締めた。
at 20:30
2023.02.09
「あれま? どうしたんだか?」
潮時か、と露店を畳もうとしていた老婆は一時、視線をあげた。先の相手を確認だけすると臥せ、その表情は頭巾の昏い陰に隠れる。いそいそと去ろうと手早くしまい込み、腰を上げた。しかし、一足遅かったか。葡萄色の線が入る縅が印象的な鎧をきっちりと着込んだ女性が行手を遮るように立っていた。威圧的ともとれる態度に老婆は女の臑を睨んでいる。
「梦辿(むてん)、頼みだ」
「金」
ぶっきらぼうな回答に女はその表情を一層歪ませた。一方、老婆の唇は弧を描くとその場に坐り込んだ。
「……この刀でどうだ?」
そういい、腰につけていた太刀を突き出す。豪奢な蒔絵が施されて、実践的とは言い難い。簡素で無駄な隙もない実装の女の雰囲気からは真逆で明らかに浮いていた。
「ふむ、飾り刀か……まあ良いとするか。ほれ、この間の髪飾りは還すよ」
「面倒臭いな」
「立て前だよ。実質、タダだ」
ニヤリと口をいびつに歪めて、老婆は受け取った刀を箱にしまう。女も投げ付けられた簪を一瞥した。太刀同様無駄に豪華な上等品に女は苦い表情を見せた。その様子を盗み見て老婆は口元をさらに歪ませる。
「不穏な空気は西南。人狩は東。南が吉だね。小競り合いがありそうだ」
「……」
老婆の言葉を黙して、女は聞いていた。
「これに関してあれは動いてはいない。北は未だに、といったようだ。辺りも静観を決め付けたままだ。他に知りたいことは? なんでもやってやろうか? ……例えば、あ」
「っ、いや……知りたいことは先の中にあった。隊長に伝えることにしよう」
踵を返し、去ろうとする女性。その背をつまらなそうに見てから、独り言なんだがね、と業とらしく呟いて、やはり、笑った。女性の動きが止まるのを確認、間を置いてから、
「もうひとつ、面白い話を聞いたんだがね? 紫水の瞳が人狩と一悶着を起こしたそうだよ。伝えておいた方がいいんじゃないかな? て、おやおやまあまあ」
老婆の言葉が終る前に女は血相を変えて、駆け出していた。
at 20:42
2023.01.18
塔の最上階の露台から少女は夜明け前の静かな城下を俯瞰していた。少女の周りで霊妙な燭が蕩揺している。
古塔を擁する城は黒い岩山に張り付くように建造されていた。凍てつく白い大気が、ゆっくりと澄み渡った天からその山肌を伝って降りてきている。
「もうこんなときなのね」
少女の囁くような声にも奇麗にととのった顔にも感情は窺えない。
ただ、渺々と荒んだ国土が少女の瞳に映っていた。同じ風景が乳白色の大きな陶器の鉢の水面にも投影されている。この景色は現実のものではない。少女の脳裏を過ぎったもの一つだ。憂いからか、幾度目かの白い嘆息が洩れる。
「まだ決まらないの?」
そう問い掛ける少女の三歩後ろに立った若い女は水に映った光景をそれとなく一瞥して、口を開いた。
「元を辿れば玻羽(はう)、貴方が悪い。試金石の結果がああだったからと……あんな言い方したら彼等だって、誰一人として納得しませんよ」
「あれにすらちゃんと触れられないなら、私のに触れられるわけないもの。良かったというもの。そなたとて、そう思うでしょう」
強く言い切る少女に女はしばしの沈黙を置いて、失笑、自嘲気味に口を開いた。
「そうか。我が国では前代未聞のこと、もう一族から出すのを諦め、宗主に相談するしかあるまい。そうするべきだ。情けないことだが、こんな情況にしといて何もいえまい。問題は現状」
メゾソプラノの女の声が部屋に響く。カツリ、女がわざと靴の音を鳴らし、腰元に下げている短剣に手を添える。声を下げ、少女の名を今一度呼んだ。少女が振り返ることないと悟り、女は息をついた。
羽虫が少女の横を過ぎる。
「……気を張りすぎ、劉滸(りゅうこ)、そなたは」
「もういい、いいのよ。玻羽は何も言わないでください。私は器ではないと自覚していますし、現状で手一杯だ。それに私はもう誰も殺したくない」
そう呟いて女は踵を反した。
「何も言ってなどいないのに……だからとこのままじゃ……しかし、私が言っても何の意味もないね」
少女は白藤色を細めてひそかに微笑み、浅紫の柔らかな髪が揺らいだ。神的な燭が消え、水の表面に波紋が広がった。映った荒んだ大地が波に飲まれる。
at 18:31
2023.01.17
「烏ではなく鷹が飛んできたわけはあれかしら?」
月亮の厳しい声が静かな部屋に響く。
「お父上が不在ですのでどうしたものかと」
部屋のところどころから重い息が漏れる。それを聞いて月亮は心底気落ちした。誰も彼も一緒なのだ。月亮が抱える不安も。誤魔化しても誤魔化しきれず、繕っても繕えない。二月前からこの里をまとめる団長が消息と絶ってしまったのだ。発端になったのはなんだったのか。あれはどこが、誰が、持ち込んだ任務であったか。グルグルと不快な感情が月亮の脳内で静かに暴れている。固く目を瞑り、呼吸を整えた。
「とりあえず、この件は私が預かってもいいかしら?」
「どうするつもりだ?」
「団長が不在である以上私が代行を務めることにはこの間の話し合いでみな納得してくれたわね」
ぽつぽつと肯く。
「私ではまだ頼りないでしょうが、みなの助けを借りながらどうにかしてみせるわ、だから私に任せて欲しいといってるの」
月亮はしっかりと正面を見据えて強く言い切った。
「どうするのか、聞いてるんだが」
今一度、同じ問いを月亮に投げつけた男は厳しい調子を崩さずに続けた。
「ただの鳥ではなく鷹が飛んできたのは龍の依頼だからだ。宗主からのものだ。失敗など許されない。受けるならそういうことだ」
「わかっているわ、利剛。覚悟を持ってる。どうするのかって、どうするもこうするも中身を確かめなくては一歩も先に行けないでしょ。私が責任者となってこれを検めるの」
利剛の眉間の皺がさらに深まる。
「来てしまったものを無下に返すことも出来ないのも事実よ。これが唯一なのよ」
「わかってるのか?」
月亮は無言で肯いた。
「この封を解いた瞬間、契約の印が結ばれて私は彼の僕とされる。あちらに召喚されて言を頂く……そうよね」
少しだけ月亮の声は震えていた。一度、区切って、瞳を閉じる。
「ことを成せば印は消えるのよ、やればいいのだわ」
開かれた翡翠の瞳は力強い光が宿り、手元の手紙に向けられていた。
at 19:46
2023.01.16
同じ時刻、医務室にいた少女は目まぐしい音を横目に眼前の青年と格闘していた。青年が治療を拒んで暴れるのだ、無意識なのが尚のこと質が悪い。なんで、意識を失ってるくせに、こんなにも莫迦らしい芸当を、いかようにして会得したものか。跳ねる髪を一つに結びあげて、頬を叩いて気合を革める。――さあて、もう一度よ。もう一度、夜爾。
「劉嵐! もういい加減にしなさい!」
青年の耳元に向けて叫んだ。ぴくりと肩が跳ねる。
止血はもう終わっているからいいとして、患部を確認して消毒をしてやりたいだけなのに、医務室に運び込むため気絶させたことが仇になるとは。青年の額にできた見事なたんこぶを恨めしそうにねめつけた。
「まったく……これは狸寝入りなの?」
「ねえねえ」
背後から甲高い少年の声がして夜爾は飛び出そうになった声を飲みこんで、まごつきながら、振り返った。
「なんでしょうか?」
「いや、劉嵐って聞こえたもんで」
金髪頭が二つ、扉から覗き込んでいた。一瞬、ぎょっとしたがすぐさま平静を取り戻して夜爾は二人を手招いた。
「そんな変に覗いてないで入ってきたら? 星、それに黒暗さんまで」
金髪の少年――星は目を爛々とさせていた。
「おーい劉嵐兄さん大丈夫?」
そう言って駆け寄って、遠慮なく頬をぺちぺち叩く。
「だめだ、こりゃ。完全に伸びてやがる」
唇を尖らせて言う星の頭に手を置いて、
「そこまでにしておきなさい。ほっぺが腫れてしまう」
心配そうに金髪の青年――黒暗が注意した。
「でも起こさないと……よなが困ってるじゃん」
夜爾は曖昧に頷いてやった。
「もう少し穏便に起こせないか? 乱暴に起こすのは可哀想だ」
「黒兄は兄さんに甘い」
ぷっくり膨れる星に黒暗ははにかむ。
「なんで笑うの!? そういうところだよ、あんぽんたん」
年の離れた兄に食って掛かる弟。そこに割り込んだのは呻き声だった。それは寝台にいた青年から洩れていた。
at 19:05
2023.01.14
夕時に騒がしくなった。大所帯がうるさいのはなんらおかしくもないのだが、その喧噪は根本から違うものだった。滅多に見ない顔と長廊下で行き違う。それも相当数。宗太は浮立っていた――今日こそは日記の中身が充実するだろう。紙面と向き合った彼女の顔もきっと――。
「宗太邪魔よ」
涼やかな声。振り返った。月亮は氷のような面構えで立っていた。おもわず、言葉が詰まった。月亮の片眉が上がる。
「騒がしいね」
上ずってしまった己の声を聞いて、さらに宗太は身が縮んだ気がした。頬が熱い。
「そうね。そして忙しい。わかってるでしょ。特に用がないなら、もういい? なにもないのなら今日はゆっくりしてたほうがいいわよ」
ぴしゃりと言って月亮は踵を返そうとする。
「待って」
その一言を絞り出したときだった。ゴーン、と大鐘が三回鳴った。皆が一時、静止した。普段よく聞くのは二種。鐘が一回は時を告げるため、二回は里の者の出立と帰還。それ以上になると普段鳴ることない数であり、三回が示すのは外部から接触であった。困惑の空気が辺りに広がっていた。
月亮は身体の向きを変えて、宗太の腕を掴んだ。
「え? どうしたの」
「いい、宗太。部屋に戻ってじっとしてなさい。誰に声かけられても絶対に出てはダメよ」
一段と冷えた声で耳打った。
「わかったら、返事」
不承不承、宗太は大きく縦に二度、首を振った。
at 18:34
2023.01.11
どうすることのない一日をどう記したらいいものか。少年は頭を悩ませていた。
いつもどおり、朝起きて、飯食って、淡々と用事を済ましていって、馬鹿やって、飯食って、阿保やって、恒例の説教を喰らって、興じて………あと、まあ晩ご飯を食べて、一息ついて寝るだけだ。そう、少年は唇を尖らせて乗せた筆を遊ばせる。一昨日といっしょとか、この間と同じ、〃、こんな手を続けてたら相手に注意された。流石に三回目には物理的な制裁まできた。ああ、だからと箇条書きしてみたところで何か言われる気がする。もうしばらくこの課題と付き合わなくてはいけないか。今度は頭が痛くなってきた。筆を机の上にひとまず置いて、目頭を押さえる。なんでこんなことを確約してしまったのだろうか。もっと別に楽なことあっただろうに。何一つ思い浮かばないが。―――日記を書きあおう、とか自分から言った。先手を打とうと咄嗟の出来事だった。そのときも何かの小言からで、ああまあ――忘れた。
at 20:59
2023.01.05
清涼感漂う短髪の黒髪、翡翠の瞳――月亮は手に携えていた愛用の薙刀を壁に立てかけて、ゆっくりと室内を見渡した。まったく、誰だ、今度は――眉間に皺が寄る。僅かな違和感を感じた。きっと勝手に物が動かされたからだろう。きっちりとした性格の彼女は自室、および自分が主だって使う部屋の隅から隅まであらゆるものの配置を記憶している。支障が出るほどではないが、ちゃんとしてなきゃ気になってしまって不愉快だからだ。少女は額に手を置いて、深く息を吸った。動かされたのは机の上の……これか。文鎮がズレてる。人の書類を盗み読んだ不届き者でもいるのかな。そんなに機密の高いものでないから見逃してやってもいいが、さて今一度どうしようか。口元を覆うように左手を当て、思案していると扉が鳴った。返事はしなかった。もう一度、扉が鳴らされる。昨晩の案件だろう。時間は狂っていたが、さほどのものではなかった。まったくあの阿呆は体内時計のズレているらしい。いつも任務終えて里に帰ってくるのは夜遅く。どんな任務でもだ。特に寄り道てきなことをしているわけでもないらしい、同行者をつけてても何故か時間がそうなってしまうのだとか。ただ昨晩は余計がついていた。さて、それの裁量もせねば。三回目の音が鳴るより先に月亮は声を返してやった。
at 22:04