- ナノ -

プールへ行こう2

プールから帰ってきたのは夕方の4時だった。

ご飯までは時間もあるしと、
今日撮ってもらった写真を見ながら
ベットでゴロゴロしていたら
少し眠ってしまった。

さっきより外は暗い。

いま何時やろ、時計を見ると
ちょうど18時になった頃だった。

スマホの通知のランプがチカチカしている。

確認すると30分ほど前に
角名から着信があったみたいだ。

角名から電話て珍しいな。

そのまま折り返すと
留守番電話に切り替わったので、
メッセージは残さずに電話を切った。

まぁ、なんか用事あったら
また連絡くるやろ。

ご飯を食べて、風呂に入り、
いつもなら居間で家族とテレビを見て
ダラダラするところだが、
今日はプールではしゃぎ倒したので
もう眠い。

すぐに自室に戻った。

部屋の扉をあけると、
スマホの通知を知らせるランプが光っていた。

確認すると角名からまた着信が
あったみたいだ。

今日は角名と縁がないな、

ちょっと笑けた。

アプリをひらいて角名にメッセージを送る。


【電話出れんくてごめんな】

すぐに既読がつく。

【なんか用事あったん?】

と打とうとしたら角名から電話がきた。


「もしもし、角名?」

「こんばんは、みょうじ。いま平気?」


久しぶりの角名の声だった。

受話器から声がダイレクトに
耳に入るので少しだけ照れくさい。

「うん、もう寝よかなと思ってたとこやし
大丈夫やで」

「そっか」

「なんかあったん?」

「いや、……昼間に侑から連絡きてたから、
写真も……みんなでプール行ったんだ?」

「あぁ、せやねん。
めぐちゃんらと4人でプール行ったら
侑くんと治くんに偶然会ってな、
侑くんの提案で一緒に昼ごはん食べてて、
その時に写真撮ってもらってん」

「……いいな、なんか楽しそう」

「うん!今日はホンマ楽しかったで。
角名は今、実家やねんて?」

「うん、でも家でゴロゴロしてる」

「ちゃんと課題進んでるん?」

「そっちこそ」

「私はもうほとんど終らせたで」

「え、じゃあそっち戻ったら写させて」

「えー、あかんよ。
自分のための課題やねんから」

「……北さんみたいなこと言う」

「はは、なにそれ」


少し間を置いて角名がまた話し始めた。


「……みょうじ、あの水着似合ってたよ」

「あ、ありがとぅ」

なんか角名にそんなふうに言われると
恥ずかしい。

「ねぇ、またプール行かないの?」

「え、夏休み中に?」

「うん、俺もプール行きたいんだけど」

「行ったらええやん。
そっちにもプールくらいあるやろ?」

「みょうじと行きたいんだけど」

「は?」

「吹部はいつまで休み?」

「あ、えと、関西大会前日までやから
あと1週間はない……かな」

「わかった。俺、明日そっち戻るから
明後日一緒にプール行こう」

「えぇー!ちょっと待って、
さすがにそんな急やったらみんなの予定が……」

「他のやつ誘わないで2人きりで行こうよ」

「ちょ、2人きりでって、
それやと……でっ、デートみたいやんか!」

「いいじゃん。デートしてよ、俺と」

「何なん、角名、今日ちょっとおかしない?」

「おかしくない。ねぇ、行こうよプール」

まぁ、あと一回くらいやったら
行ってもええかとは思ってたけど……


「2人きりはさすがに……」

「…わかった、じゃあ銀誘っとくからみょうじは栗山連れてきたらいいよ。それなら行くだろ?」

「……めぐちゃん次第やけど」

「じゃあ詳細はまた連絡するから」


オヤスミ


そう言って角名はそそくさと
電話を切ってしまった。

どうしよう、いや、2人きりじゃないから、
まあ、ええねんけど、

と、とりあえず

動揺しながらもめぐちゃんに
すぐに連絡をとったら、
銀ちゃん来るんやったら絶対行く
とのことだった。

「それにしても角名くん積極的やね」

「グイグイくるから引いた」

「だって、はじめはなまえとふたりで
プール行きたいって言ってたんやろ?
それってさぁー」

「ああ!言わなくていい!
そんなんちゃうねん!
あいつ絶対、私からかって
遊んでるだけやし!」

「えーそうかな?
でも、おかげで私も銀ちゃんとプール!」

「……可愛い水着姿見せられるやん、
よかったな」

「角名くん様々や!」

翌日、角名から連絡があり、
予定通り4人でプールへ行く事になった。