「オイ、どれだけ探したと思っている」
目の前に黒い馬が舞い降りたと思った。けれどそれはすぐに人の形になり、小柄で端正で、ひどく無愛想な顔をした男になって───私の部屋のグレーのカーテンを裸の体に巻き取ると、そのリヴァイという黒麒麟は私の前に跪いたのだ。
「天命をもって主上に迎える。御前を離れず、詔命に背かず、忠誠を誓うと誓約申し上げる」
ふわりと風が吹く。ぽかんとしたままの私に、リヴァイは続ける。
「許すと」
「え……?」
「許すと言え。そうすれば、お前は俺の王となる」
体に巻いたカーテンのグレーより、ずっと上品な灰色がリヴァイの目の奥で瞬いていた。私はそれから逸らせない。消え入りそうな声で「許す」と呟くと、リヴァイの額からは光が溢れた。
そして後に知ることになる。
私がこの時下した選択は、リヴァイと国と天命との契約で。私が息絶えるその瞬間まで、私はリヴァイと運命を共にするのだ。
天命が下った