「あのさぁ」
「んむ、なんですか?」
まどれーぬと呼ばれる洋菓子をほおばってこちらに向ける笑顔。あーぁ、なんて嬉しそうに竜の旦那が作った菓子を食べてんだか。(俺さまそれがすごく、おもしろくないんだよね!)
「ね、それさそんなにおいしい?」
「はい!まさか政宗にこんな特技があったなんて知らなかったから、驚きましたけど」
あ、それそれ、そいつが気に食わないわけよ。
なんていうの、こう。意外性?意外性で心を奪おうとしてるあのちゃっかりしたところね。あーあ!
「俺、そうやって竜の旦那の作ったの食べてうれしそうにしてるの見るの面白くない」
「…え?」
こういったらすこしは彼女も気がつくかなって思ったのに、ところがところが、俺様はまだまだ彼女の天然さを甘く見すぎていたらしい。
「え、あ、すみません…もしかして佐助さん、政宗のこと…」
「え…?は、あぁあぁああ?!」
「あっ、いえ、大丈夫ですよ。私そう言うのに偏見ないですから!だから私と政宗が話してたら時々不機嫌そうだったんですね!」
「ちょ、ちょっとまってちょっとまって!!」

恐ろしい誤解が、今進行しつつあるんじゃない?!

「安心してください!私、応援しますから!」
「だーかーらー!違うってえええええ!!」
叫ぶ俺を無視して彼女はぐっと拳を握る。
そんな思い込みの激しい彼女の勘違いをどうやって解こうかと必死で考えながら、彼女のその反応を見て、彼女が竜の旦那をまったくもって想っていないのがわかってほっとしている俺がいた。




(だけどものすごく複雑な気分だ!)




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -