千冬×場地姉 | ナノ

東京リベンジャーズ

あなたの笑顔で帳消し



名前さんが親しげに男と話していたところを見てからタイミングが良いのか悪いのか、なかなか会わない日々を過ごしていた。今までは会えなくて会いてぇな、とか思ってたことの方が多かったのに、今はぶっちゃけ会ったとしても多分俺は上手く立ち回れるのか自信がないから良かったのかもしれない。


今日は場地さんと一緒によく行く銭湯にやって来た。場地さんのトレードマークである長い髪は結いて上げていて、俺もいつものように髪の毛を束ねてちょんまげスタイル。

場地さんと毎日一緒にいても話しても全然飽きねぇし、楽しいし、かっけぇなってなるから、ホントこの人はすごいと思う。いつだって俺の憧れでずっと傍にいたい人。だからこうやって一緒に風呂に来れるのだって嬉しい。現に今も場地さんと風呂に入りながらいろいろ語っていたら、長風呂気味で熱った体を冷ますために俺は服を着て外に出た。 


「あ、千冬も来てたんだね」


あっつ…と思いながら外に出たら、名前さんと鉢合わせして心臓が飛び出るかと思った。びっくりしすぎてちゃんと反応できなかったし、よくよく見れば名前さんも風呂上がりだったようで頬が少しだけいつもより赤く色付いていたし、髪も上げていて首筋が見えるようになってて、それがまた色っぽくてドキッとさせられる。



「千冬、かわいい」


なんの脈絡もなく、突然クスクスと笑い出した名前さん。今のどこを可愛いと思ったのか、俺がテンパってるのバレたのか?と思っていれば、名前さんは俺の視線より少し上を見て「お風呂入る時、そうやって入るんだ?」と言われて初めて俺は髪を下ろしていなかったことに気づく。こんなカッコつけてない、むしろ見られたら恥ずかしいと思っちまう髪型を見られ羞恥心に駆られて俺は慌てて髪を下ろす。手櫛でワッと直していれば、名前さんが笑いながら手を伸ばして俺の髪に触れる。


「せっかくの髪がボサボサだよ」


そう言いながら、俺の髪を直してくれる名前さんの手がたまに下ろし損ねた俺の手と触れてた。たった一瞬なのに、その一瞬で触れたところが一気に熱を秘めて、変に意識する。いや、むしろ今目の前で俺を見上げるように髪を直してくれるから、いつもより近い位置に顔があるせいかもしれない。全神経は頭に行ってるし、視線はどこにやればいいのかわからず、キョロキョロと泳がせることしかできない。



「はい、おっけー」
「あざっす、」



名前さんの手が離れて、ホッとしつつも少しだけもったいなくも感じたり。でも、離れたことにより、ようやく名前さんの方が見れるようになる。



「名前さんも普段髪下ろしてるから、上げてると雰囲気違いますね」



少しだけ、気持ちに余裕が出てきて、名前さんの普段と違う髪型について触れてみた。そしたら、名前さんはうーん、と少しだけ考える素振りを浮かべながら、「ほんと?」と呟く。


「どっちがいいかな」
「え、あー上げてる方も好きっすけど、」


ちょっと色々やばいなって思ったけど、さすがにそれは言いにくい。なんて言えばいいか、と悩みながら歯切れ悪くしていれば、名前さんは「ふふっ、男の子には難しい質問だったね、ごめん」と笑っていた。




「んだよ、千冬。姉貴と一緒か」
「場地さんっ」
「あ、圭介〜。ちょうどいい、みんなでアイス買って食べよ〜」



風呂上がり、髪を乾かすのに時間がかかっていた場地さんもやってきて、名前さんを見るなり少しめんどくさそうな表情を浮かべている。なのに、そんなことは全く気にしない名前さんは場地さんの腕を引っ張って、俺にも「いいよね?」と同意を得てくる。



「はい、俺はいいっすよ」
「じゃあ、姉貴の奢りな」
「ガリガリ君なら良いよ」


「やっすいじゃねぇか」なんて場地さんは言いつつも、3人並んでコンビニへ。


そういえば、さっきまで名前さんと会いにくいなって思ってたことも完全に忘れてしまってた。結局、名前さんと会ったら嬉しさの方が勝ってしまう俺はすげぇ単純な奴だなって思った。



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