千冬×場地姉 | ナノ

東京リベンジャーズ

放課後の密会



※みんな同じ高校進学



社会科準備室、窓を全開にして入ってくる心地よい風。ここに持ち込んでいる漫画をペラペラと読みながら、耳に入ってくる学校のチャイムは放課後を知らせる音。

自習だったことを良いことに、ここでサボって漫画を読んで。

ゆったりした時間を体で感じて、ずっと同じ姿勢だったから、体が変に固まってバキバキ。



「っあー…」



少しだけ体を伸ばしただけで体が軋む音がする。携帯の時間を確認しながら、名前さんからのメールの有無を確認するが、受信履歴はなし。まあ、大学生だし時間の流れも違うもんな…なんて頭では理解しているはずなのにモヤモヤする。

ダルっ…なんて思いながら、携帯を閉じてポケットにしまって、教室に戻るかどうするか。そんなことを思っていれば、放課後になったからか窓の外から声が聞こえたり、廊下をパタパタ歩く足音が響く。



「ちーふゆっ」



開けっ放しだった社会科準備室のドア。だから、忍び足で入ってこられたら誰が来たとかわからないし、突然後ろから腕が伸びてきて抱きつかれて驚かない人間はいない。


一瞬、心臓が止まったかと思った。


ドッドッドッドッと心臓がうるさい。耳に入ってきたのは明らかに女の声だというのに、俺の知る限り、在校生で俺に対してこんなことする奴はいなくて、誰も思いつかない思考回路の頭を思いっきり後ろに向けて俺はさらに驚かされる。



「名前さっ」
「千冬、サボりはよくないよ〜っ」


振り向いてそこにあったのは、名前さんの顔。さっきまで俺が送ったメールの返信はなかったことにより俺をしょげさせてた人だ。俺の気も知らずに、名前さんは背もたれ越し、後ろから抱きついていて楽しそうに笑っている。



「えっ、サボりっつーか、自習だった、んで…じゃなくて、名前さんなんでここにっ?!」



名前さんの質問につい、いつもの感じで返していたが俺は言葉を紡ぎながらここにいること自体がおかしい名前さんの存在に改めて驚く。さっきは突然の登場に驚いてしまったが、冷静に受け止めてもここにいることがまずあり得ない。



「んー、圭介がやらかして呼び出しくらったから」
「え、場地さん何したんすかっ?!」


名前さんは俺から視線を逸らせて言うもんだから、俺は驚きのあまり椅子ごと体がガタガタと揺れる。名前さんはそんな俺を見て、「うそうそっ」といたずらっ子のような笑みを浮かべてペロリと舌を出す。



「っも…びっくりさせないでくださいよっ…」
「千冬は可愛いね」


一気に体中の力が抜けた。だらんと再び椅子に全身を預けてしまえば、名前さんは抱きついたまま後ろから俺を可愛いという。その言葉にまたモヤっとする心。



「卒業生として遊びに来ただけ」
「本当に?」
「ホントだよ、ほら来賓のコレもつけてるし」



さっき職員室行って先生たちと挨拶もしてきたんだよ、なんて言いながら名前さんは胸からぶら下げている来賓カードをぷらぷらと見せてくれた。

そっか、名前さんはただ単に母校に遊びに来ただけ。そんでたまたま俺のところにも来てくれただけ。モヤモヤした心は晴れないまま、いろんなことがネガティブになってしまう。そんな顔を見られたくなくて俺はズルズルと椅子に腰掛けたまま体制を少しだけ崩す。



「千冬に会いたくて、」



ギュッと力がこもる名前さんの腕。




「千冬に会いたくて母校に遊びに来るのを理由にして来ちゃった」



擦り寄ってくることにより頬に触れる名前さんの髪の毛がくすぐったい。


けど、それ以上に名前の言葉を聞いて俺は息を飲む。




「千冬も会いたいって言ってくれたから来ちゃったんだけど…、迷惑だった…?」



名前さんはいつだってこうだ。

懐まで猫のように可愛くやってきて、俺が喜んで触れようとしたらあざとく逃げるのに、こうやってまた俺を誘って心の中を掻き乱す。



のらりくらりと自由な猫、


本当は構ってほしい寂しがり屋の猫のように。




首元に回された名前さんの腕を掴んで、名前さんの方を見れば少しだけ不安そうな色を浮かべた瞳と目が合う。


「俺だって、会いたかったから嬉しいですよ」


そのまま腕を引っ張って、名前さんの体を手前に来るように仕向ければ、引っ張られて体制を崩す名前さん。そのまま後頭部に手を回して抱き寄せながら唇を塞いだ。

俺の上に乗っかって、突然のことに困惑しながらも必死に応えてくれる名前さんの口の中を犯して離してやらねぇということを体でわからしてやれば、最初こそ肩に乗せていた手が意味のない抵抗をしていたけれど、それも次第に無くなって大人しくなる。


「んっ、」



やっと離してやったときには、名前さん頬は紅潮して目も潤んで色んな意味でヤバい、と警告音が鳴った。



「俺、送ったでしょ。いつ会えますかって」
「ちふ、」
「めちゃくちゃ会いたかったから、そんな時に突然来たら歯止めが効かなくなりますって」



俺の上に乗っかる名前さんの腰を撫でながら、名前さんを見上げるように見つめると名前さんは俺の頬をそっと包み込む。




「あたしも千冬に会いたかったから全然いいのに…」



少しだけ気恥ずかしそうに呟いたこの言葉を聞いて、俺はまた名前さんの唇を塞ぐ。外からは運動部、廊下からは吹奏楽の楽器の音や下校する生徒の声が響く中、こんな場所に誰も来ませんようにと心の中で呟いた。


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