未完成作品置場

■ ?

「ったく…またかよ」


下駄箱を開けたらわたしを迎え入れるはずのスリッパはなく、代わりに可愛らしい便箋がちょこんと座っていた。その薄紅のいじらしい皮を一枚剥いだら、そこにいるのは醜悪な敵意の塊だ。時々、鋭利な刃も交じっているのだからこんな形でも侮れない。わたしはそれを汚いものでも持つように指先だけで摘み、近場にあったごみ箱に捨てた。殺した笑い声が廊下の隅で沸き起こる。わたしはわざと奴らに聞こえるように溜息を吐いてあげた。くだらない、あまりにも幼稚すぎる。あれだけ証拠に残るようなことはするな、と念を押したのに。全く彼女たちはゴキブリ以下の学習能力である。“健全な”中学生に良識と節制を求めるのが間違っているのかもしれないけれど。わたしはクラスで、いや学校単位で浮いている。


「じゃー問6を高橋」
「えーわかりませーん!」
「しょうがないなあ…二宮」
「まずхを求めて〜」
「今は国語の時間だ」


二宮、という名前らしい生徒がおどけて、教師が突っ込んで、それなりに笑いが起こる。

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円堂で書こうとしたんだっけ…
いつもと違う感じのヒロイン

2010/03/12 19:11

■ 望月(P3)

終わるときはちゃんと教えてね。わたし、縋りたくないの。

二人の関係が晴れて恋人という名に落ち着いた日、彼女は僕の腕に身体を預けたままで絞り出すような声を出した。始まったばかりなのに、茶化そうとする僕を窘めるための視線が、瞳からずれて頬をなぞり首筋に落ちる。伏せた瞼を飾る長い睫毛も、瞳に灯る憂いも、彼女を形作る全てがまるでこれからの展開を承知しているかのように微かに揺れた。


「わたしは永遠なんて信じてないわ。どうせ人はいずれ死ぬ、変わらないものなどありはしないもの。だから、つかの間でいいから、綾時の傍にいたい。…これは間違った感情なのかしら?」
「…間違ってないよ。君が望むなら、それでいい」
「そう、いいの、ね」


彼女はもう一度確かめるように呟いて、僕の背中にその白く細い腕を回す。密かに震えていた小さな肩を、愛しいとも思ったし、壊してしまいたいとも感じた。愛と破壊願望は紙一重だ。好きだから自分のものにしたい、自分のものにしたいから壊したい。ただ、腕の中の生の温もりを離したくない、それだけが僕の理性を動かしていた。


「好きだよ。食べてしまいたいぐらいに」
「好きよ、綾時。殺してしまいたいぐらいに」


そして、不徳が始まった。

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原作を知らずに
手を出すのはやめよう!

2010/03/12 19:08


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