「ええっ!!私がですか!?」



屋敷に響いたであろう私の声。
いや、いやだって!!!びっくりすること言うんだもの!!

その台詞を吐いたのは目の前にいる男性。
以前からよく知る、ボルサリーノを目深く被る漆黒の彼。そして隣にいるのはニカッと眩しい笑顔のおじ様。



「なんだ。不服か?」
「いえいえ!滅相もございません!しかし私なんかが……」
「そんな畏まらなくてもいいぜ、ティア」
「おじ様……。でも、十代目様の婚約者候補だなんてそんな大それた役を私なんかが頂けません」



そう言うとギロリと鋭い目線を向けてくるリボーン様。そ、そんな睨まなくても……

だってこれまでの27年間、殆どこの屋敷から出たことのない私は世間知らずの自覚がありますもの。社交界や誕生日や記念パーティに参加したことなんてありません。
そんな私にマフィア界での常識があるとは思えないのです。十代目様に恥をかかせてしまいます
目線を下に向けると、おじ様が口を開く



「そんなこと気にしなくていい。俺の息子だぞ?怒らねぇよってか怒ったら俺がぶん殴ってやる」
「まあ家光は返り討ちにされると思うがな。俺がやってやる。……ティア、これはチャンスなんだ」
「チャンス、?」
「そう。今まで箱入り娘で育ってきたお前が、外へ出ていけるチャンスだ」
「………………」



ずっとこのままでいるつもりか?

口には出さずとも、リボーン様の目がそう語っている。



知っていた。自分が何も知らないことを

知っていた。自分が除け者にされていることを

知っていた。自分がみんなの力になれないことを



「知ってますよそんなこと」



知ってたよ。それでも、みんなが私を大切にしてくれていること



それでも、私自身変わらなければいけないことも。



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