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・おかず番外編
・ただ二人がいちゃこらするだけです


「ねえ、本当に大丈夫なの?」

茹だるような猛暑を乗り越え大分朝も夜も涼しくなってきた週末。いつものように廉造が私の家にやって来ていつものように夕飯を食べて一緒にテレビを見て寛ぐ。せや、なんて言って何かを思い出したように持参した薬局のビニール袋を漁りとある物を取り出した。化粧水のボトル程の其れは確かに液を混ぜ合わせて作った泡の染色液でムラなく髪を染める女性用の毛染め剤だった。モデルの女の子がにっこりと微笑むパッケージを指でつついた廉造はパッケージ顔負けの爽やかスマイルでこう言い切った。

「俺が染めたろ思いましてね!」


そんなこんなで私は流される儘に首にケープを巻かれ膝を抱えてベッドの下に座り、廉造はベッドの上で足を投げ出して座りA液とB液を入れたボトルをバーテンダー気取ってシャカシャカと振って堪能に混ぜ合わせていた。出会った頃はTシャツは夏に入ってタンクトップになり、秋になると七分袖になった。今廉造は黒の七分袖のシャツにスウェットのズボンを穿いて完全にお寛ぎモードといった格好だった。
髪の毛はずっと自分で染めていたから誰かに染めてもらうのは初めてで、何だかそわそわして落ち着かない。何処か機嫌の良い廉造に冒頭の台詞を投げ掛けるとこれまた爽やかな笑顔で親指を立てられた。

「大丈夫ですよー。俺、兄貴の髪染めるん手伝った事もありますから」

「何か気合い入ってるね…」

明るいキャラメルブラウンの髪を一房摘んでその色合いをじっくり眺める。薬局で安売りしていたから適当に購入した毛染め剤だったが安さの割にはムラなく染まってくれた為これは良いとずっと使い続けていたものだった。何だかんだいって良い付き合いだったが、もうお別れらしい。グッバイキャラメルブラウン、また会う日まで。
心の中でこの髪の色にお別れを告げると同時に廉造の手によって泡の塊が私の頭の上に乗せられた。




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