電車めも。
軌跡中心に。



 軌跡 ワジ→ロイド←ノエル


 彼の横顔は見慣れている。その造型が人並み外れて整っていたことを誰より知っている。一心に見つめている先も知っている。それが自分と同じであることも知っている。知っている。分かっている。なんて虚しい。どちらも報われないが故に。
「ワジ君って、なかなかあたしのこと正面から見てくれないよね」
「そんなこと言うけど、ノエルも僕を見てないよ?」
 二人揃って同じ光を見ていた。それは謂わば電球で、所構わず誰かの救いになっていた。暖かくて、憧れだった。
「じゃあ見るから、ワジ君も」
「……ずいぶん暇なんだね」
 二人向き合って同じ光を見た。それは謂わばレーザーで、拡散することなく真っ直ぐ眼球を貫いた。本当に哀しい。どちらも報われないそれが。


(要らない迂回)





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