林檎飴-novel- | ナノ

* 林 檎 飴 *
春夏秋冬
◆ 春夏秋冬

季節は巡り、一面にあった雪はすっかり溶けていた。そして、草木には緑ざ溢れ、白やピンクの花が咲いている。この一年で、神田もアレンも少し痩せた気がする。だが、元気である事には変わりはない。

「暖かくなりましたね、神田」
「そうだな……」

春を感じる暖かな風に、アレンは目を細める。そんな彼の背に腕を回し、公園のベンチでピクニックだ。今日は大切な友人達が再び訪れる日。待ち合わせはこの公園。ワイワイ騒ぐのは神田は苦手だが、今日は特別だ。

「もっと、神田と一緒にいれる気がします」
「気じゃねぇ……いるんだよ」
「ふふ、そうですね。一緒にいましょう……」

ゆっくり重なる唇。左手に輝くシルバーのリング。これからも二人の間に季節は巡る。それは永遠ではなくても。
春夏秋冬、共に生きる約束を交わし―――……。


春夏秋冬 <<完>>


灰色の方舟3で発行した神アレ小説本のWEB再録

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