Last Song...1


 突然、5年記憶が消えてた。って言われたら、普通ならどうするだろう?




Last Song





 目が覚めて、いつもより片付いているリビングに対して疑問に思わず朝ごはんを食べ、その違いに気づいたのは朝のニュースをみた時だった。

 たまたまみた総理大臣の名前が変わっていた。

 その時はさして気にも止めずに、テレビを消して支度を急ぐ。
 顔を洗い、鏡をみてギョッとする。髪型が違う。長さは対して変わってないが、こんなに前髪は短くなかったはずなのに。
 それに、鏡の中の自分は疲れた印象がした。昨日あまりご飯を食べずに寝たのが原因だろうか。


 何と無く気持ち悪さを覚えながら、制服をとるべくクローゼットをあけたとき、また不思議に思った。



 あれ?制服がない?



 洗濯した覚えはないのに、いつも掛かってる位置に制服がないことに焦る。



 いつもの自分の家、いつもの自分の部屋、いつもの自分の顔。
 
 そうであるはずなのに、何かがいつもとは違うような気がするのだが、それが何だか分からない。



 侑士が知ってるのか? 侑士というのは俺の弟だ。


 俊はまだ起きているはずもない彼を起こすべく、部屋の戸をノックした。返事はない。ノタノタしている時間もないので、戸を開けた。
 少しびっくりした顔をした美形と目が合う。シャツのボタンを止めながら、その美形は「おはよう」と



 甘い笑顔を向けられ、俊は居心地の悪さにたじろいだ。




 誰だこの美形?  まず弟はどこに行った?



 時間のない朝だ。美形に見惚れている場合じゃない。



「侑士は?」

「侑士? なんで?」


 美形は不思議に首を傾げた。パッと見た感じだと線の細いイメージだったが、声は予想外に低めの声だと俊は思った。


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