2 (side:Ibuki)

(side:Ibuki)




「起きてよー、織ぃー」


 目の前ですうすうと暢気に寝息をたて始めた織に、僕は落胆する。


「織が寝ちゃったら、暇だってばー」


 何度揺らしても「ん」とか「うーん」とか、寝ぼけた答えしか返ってこない。


「起きないと悪戯しちゃうよー」


 耳元でこっそり囁いてみるも、首を小刻みに縦に振って「ん」と言っている織は、完全に睡眠モードに入ってる。
 こうなった織は何かの用事が無い限り中々起きない事なんか分かってる。


「本当に悪戯しちゃうからねー」

「んー」

「いいの?」

「んー……」


 向かい合って半分抱き合う形になっていたのに、織が寝返りを打って壁側に向いてしまう。
 絡め合っていた足が離れて寒かったからか、織が布団を一緒に引っ張り、またすうすうと寝息を立て始める。


「去年みたいに一緒に話したかったのに!」


 僕が呟いた言葉は薄闇の中に綺麗に飲み込まれる。
 こうなった織は中々起きない。朝の5時に同じ事をしたなら、すぐに目が覚めると思うけれど。
 その事実に、良い事を思いつく。


「本当に悪戯しちゃうからねー?」


 今度は織の返事はない。


「無言は肯定って言うよね! 元旦くらいは願望を叶えても良いよね!」


 思いついた良い事に、僕の目はすっかり冷めてしまった。
 僕は後ろから織に抱きつくと、後ろからそっとズボンの中に手を入れた。




 織の脱力した息子に触ると、冷たかったからか織が少し身を捩る。
 それでも起きる気配はなく、ゆっくり手を上下に動かした。眠っていても雄の反応は健在らしく、織の息子は徐々に起立し始める。


「んんっ」


 織がもう一度寝返りをうち、今度はこっち側を向いた。
 薄く開いた織の目に、「気持ちいい?」と聞くと、「ん」と頷いて再び寝息が聞こえてくる。


「じゃあ、今年の初めては俺がするね?」


 寝息を立てる織の唇に触れるだけのキスを落とした。



Ibuki side end....

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