金持ち学校
次の日、学園に行って開いた口が塞がらなかった。
公立高校と私立高校の差。
死ぬ前はバスケの強さと偏差値で高校を選んだ為、根っからの公立高校だった。体育館の設備はしっかりしていたが、食堂とお情け程度のカフェテリアがある位だった。
それが何だろうこの格差は。
こんな立派な高校があっても良いのだろうか。
門から、学園自体にたどり着くまで、バラ園のような庭が広がっている。学園自体は、西洋風の洋館。背後には、高層マンションとビジネスビル。
「織、驚きすぎ。パンフレット見なかったの?」
「え? そんなの何処に置いてあった?」
「ちゃんと机に置いておいたよ。研究資料と一緒に荷造りに仕舞っちゃったんじゃないの?」
「あー、研究資料PDFで全部パソコンに入ってるからって、机の上まで見てなかった」
どうせプリントアウトした研究資料だと思って、机の上には一切触れなかったのが間違えだったらしい。放置しておいても、翌日にはお手伝いさんが綺麗に纏めてくれる為、注意してよく見てなかった。
「正面の洋館が本館で、ビジネスビルみたいなのが教室棟だって。マンション自体が寮になってて、全部2階が渡り廊下でつながってるらしいよ」
「へえ、学生とは思えないな」
「確かに。大学並みだよね」
「重要な所失念してたけど、学費は? 父様が?」
きょとんした顔で、伊吹が「違うよ」と首を横に振る。