事後承諾
「全寮制?」
「全寮制」
「父様にお許し頂いたのか?」
「むしろ、父様としては乗り気だったよ。僕たちに年相応の事をしてやれるって」
勉強漬けの俺たちの人生を案じたんだろう。
俺も案じたくらいだから、通常の感覚だと思う。
「何人部屋なのか分かるか?」
「二人部屋だって」
「伊吹と一緒?」
「言ってみないと分からないって言ってた」
「ふーん。共学?」
「うん、らしいよ?」
「へえ」
「顔が嫌らしい顔になってる。女の子好きだったっけ?」
「なんだよ俺がホモセクシュアルみたいな発言。アメリカじゃないんだから、女が好きに決まってる」
「へえ」
その答えにむっとした伊吹に俺は気がつかなかった。
「楽しみになってきたな、伊吹ありがとう」
「そうと決まれば早く荷造りしなくちゃね」
俺たちはそういって笑い合うと、お互いの部屋に戻って早速荷造りを開始した。
荷造りと言っても、纏めてみると私服とパソコンと無線LANだけだという事に気付き、あっという間に終わってしまった。