片割れの憧れは高校
「織」
伊吹は俺の事を決まってそう呼ぶ。
そのせいでアメリカでは、伊吹はイブキなのに、俺はウォーリとあだ名がついたのだ。
ちなみに、発音はイブーキって感じだったかな。ブにアクセントね。
名字は小鳥遊ともあってか、二人合わせてリトルバードブラザーと呼ばれていた。なんともネーミングセンスが巧い。
英語の研究論文を読んでいた俺は顔をあげた。
16歳になり、幾分か大人びてきたが、俺よりも幾分か優しそうな顔が何処か期待した眼差しで俺を見ていた。
ブロンドの髪と色素の薄い目が、日本人離れした容姿を一層際立たせている。
実は、身長も、伊吹の方が少し高い。
「何?」
「俺、日本の高校行きたい」
「博士号とったから、必要なくないか?」
「うん、そうなんだけど。行ってみたくなったんだ、高校。なんか皆キラキラに輝いてるから」