注がれる油2
今度は明確な強い意志を持って腕を引かれ、教会の固い椅子の上に放り投げられた。
「痛っ」
背中を強く打ち付けられて、痛みに呻く間もなくその上から斯波が覆い被さってくる。
「ちょっと、待て! 斯波!」
「辰巳」
待てという静止の声も虚しく、再び唇を重ねられる。先ほどのような軽いものではなく、食われるのではないかと危惧する位、荒っぽいキスだった。
息遣いと水音が教会内に反響する。
「やだっ、やめてくれっ」
「埋め合わせしてくれるんだろ?」
「こういう意味じゃない!」
「知らないよそんな事」
不貞腐れるように斯波が呟き、やめるどころか体全体で押さえつけられ、ズボンを簡単に剥ぎ取ってしまう。
なんでこうなってしまったのか。
虫の居所の悪い斯波にタイミングが悪く重なってしまった時差ぼけの眠気を恨まざるをえなかった。