それぞれの夏休み
学会の準備に、コートが全面使える日は部活に参加したりと、お盆まであっという間に時間がすぎて行った。
夏休みは帰省している生徒が多いのか、お盆期間中のカフェテリアは自販機しか売っておらず、食堂にもまばらにしか人がいなかった。
寮の部屋で食べる事が多い俺たちも、夜には薫と2人、食堂で食べる事も多くなった。
お互い、人の多い所よりは静かに出来る所が良いという理由だけで部屋で食べていたから、その人が居なくなった今、静かな食堂は快適だった。
伊吹も学会の準備で夏休みが始まってすぐにフランスへと旅立ってしまい、日高も8月に入れば「実家煩いからそろそろ帰るわ」と帰省した。
金曜の夜は斯波と教会でよく会っていたが、その斯波も3日前頃から帰省してしまい、神も「先に東京に行ってます。学会楽しみにしています」と報告があった。
各自帰っても、社交の場で顔を会わせる事が多いらしいから、学園にいようがいまいが対して問題にはならないらしい。
休み前からバカンスや旅行の話でもちきりだったが、この学園の生徒は想像以上に夏休みというものを謳歌するらしかった。
それから部活も休みに入った為、学園に残っている人が更に減り、薫と俺もついに東京に行く事になった。