初雪と初恋


 清水寺の舞台に着くと、兄貴が下ろしてくれた。やはり、兄弟だ。俺の事をちゃんと分かってる。

 ありがとう、と俺がお礼を言うと、照れた様に笑い返してくれた。

 俺がずっと舞台を見ていると、両親と梨絵さんと隆文さんは地主神社に行ってくると別れた。ラブラブな両親達で少し面白かった。


 兄貴は兄貴で、ヤニが切れた、と言って喫煙所に向かって行った。


 残された隆二と2人で、舞台の上から京を眺める。


「清水の舞台から飛び降りるって良く覚悟を表す言葉があるけど、結構高かったんだな」

「そうだね。たまに、本当に飛び降りて死んでしまう人もいるらしい」

「それはただの阿呆か」

「違うよ、きっと覚悟を示したかったんだ」

「示しても死んだら何も意味が無いだろ?」

「それでも。それ位、譲れない覚悟なんだよ」

「ふーん」

「僕の決意は、ここから飛び降りたら寛に伝わるのかな?」



 ボソリと言った隆二の言葉に、「え?」と聞き返す。



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