テスト期間後の教室
13科目4日間に渡るテストが終了し、夏休み目前の浮かれた空気が学園内に蔓延していた。
文化祭が終わって、あっという間にテスト1ヶ月前に突入し、学校全体がピリピリとした空気になった。この学校は2週間前からテスト期間の為、全部活動が停止になるらしく。進学高ともなれば、当然生徒のテストに対する重きも違っていて、学力社会のシビアな図が浮き彫りになっているようだった。
そんなテスト期間中の殺気立った空気がようやく抜けた教室内は心地良かった。
夏休みどこ行く?だの、テスト結果がどうだっただの、そう言った類いの話が、楽しそうに繰り広げられる。
「あ、ありえへんっ!」
そんな、のどかな朝の教室内にガタンと音を立てて入ってきた日下に、教室に居た生徒が一斉に振りかえった。
「どうした?」
「テスト結果張り出されててんけど!」
「もう順位出たのか!?」
「せや!」
公立に通っていた感覚だと、個人情報の関係で順位張り出しの経験などない。
上位に張り出された者も、下位に張り出された者も、そう言った学歴の目で人に見られるという事は、薫の言う通り人生がかかっている言っても過言ではないのだろう。
「マジで?」
「あー、見たくね」
「日下一位自慢してんじゃねーぞ」
口々に日下に愚痴る教室内。
「それが今回俺一位ちゃうねん!」
「は?」
日下の一言で、一瞬空気が止まった。
ちゃらんぽらんに見える日下が、主席の事は皆承知の事実だ。
「じゃあ、一位誰だよ!」
「伊織ちゃんや」
予想外に俺の名前が出て、皆俺を振り返った。