God jeers at me.(神が嘲笑う)

「神はなんで研究をしようと思ったんだ?」


 気まずい雰囲気を誤摩化すように俺は前々から気になっていた事を聞いた。


「そうですね、きっかけは伊織さんでしたよ」


 予想していた通りの返答に少し笑う。


「でも、琴線に触れたものがあったんだろ?」

「さすが伊織さん、鋭いですね。……未知のものが分かる過程が子供ながらに面白くて、本格的にあなたと同じ道に志そうと思ったのはそれからですね」

「なるほどな。まあ、研究ってそんなもんだよな」

「そういう伊織さんはなんで研究しようと思ったんですか?」

「……俺も憧れの教授の論文読んで感動したのがきっかけだったかな」

「それ言ってましたね、確かモーガン教授の論文でしたっけ」

「良く覚えてるな」

「あなた関連の記事は一字一句忘れませんよ」


 生まれ変わった意味。
 お前の転生は意味のあったものだった、そう言われるような人生にしたかった。
 がむしゃらに生きてきて、これだ、と思うものが研究だっただけの話だ。

 お前は必要だった。
 
 あの頃の俺は、誰かにそう言われたかったのかもしれない。


「そう言えば」

「ん?」

「伊織さんの大学論文で、面白い論述があったのについて一回聞いてみたかったんです」

「お前、そんなのどこで読んだんだよ」

「調べようと思えば、簡単に調べられるものですよ」


 にこやかに笑う神が不気味でもあったが、そこはもう触れずに居ようと心に決めた。


「で、何の論文だ?」


「輪廻転生について、です」


 咄嗟に反応出来ず、俺は神の顔を見て固まった。


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