予想以上のブラコン
「なんか、いつも薫には助けられてばかりだな」
「そうでもない。お前とバスケをしたいと思ったのは、俺の我儘だ」
日下が薫の事を不器用だというが、こういった言葉の端々に相手への思いやりが詰まっている。部屋にいるときでも、相手に気を遣わせない気の使い方が上手いんだ。
「ありがとう」
薫は頷いて、いつものように頭にポンポンと手を置いた。
「楽しみにしている」
「ああ」
後悔するかもしれない。でもやらなくてもきっと後悔する。
それなら、やった方がいい。前に進んで後悔した方がよっぽどマシだ。
俺は入部届に記入し、薫に渡した。
スケジュール表とロッカーの鍵を貰い、2人で部室を出る。
「今日からでも出来るが」
「一度伊吹に報告だけしておくよ」
「そうか」
「俺って自分で思ってるより、ブラコンだったんだな」
「今更だ」
「……ぷっ」
そこは薫も否定しないらしい。
渋い顔でそういう薫がどこかおかしくて、思わず声を出して笑った。