期限付きの日常
それからの残りの余命は、靱帯断裂してからの時間を全て取り戻すかのような、輝いた日々だった。
高城家にも、俺が余命が少ない事を告げた。梨絵さんは、母さん同様、大泣きして、隆二は何も言わず抱きしめてくれた。
いつもと変わらない日常。終わりがあると思うと、途端にその大切さを知った。
学校の奴らには俺が病気な事は何も言わなかった。退院した時は、クラスのみんなは心配していたが、元気だと分かると安心したらしい。
あと、変わった事といえば、バスケ部にはマネージャーとして、再入部した。
激しい運動は出来ないが、監督がいない時の代わりのコーチや、メンバーの分析。
いつも一緒に戦ってきた奴らだ。何処が悪いかなど、自分が選手だった時は中々言えなかった事だが、マネージャーとなってからはプラスにアドバイス出来る。
メンバーも、靱帯断裂してからの俺の姿をみていたからか、前向きになった俺を受け入れてくれ、アドバイスを求めてくれる位最大の信頼を寄せてくれた。
そんな皆の努力と気持ちが合わさって、総体は見事関東大会まで駒を進めることが出来た。