嵐は去って



「疲れた……」


 俺は大きく項垂れる。
 午前中裏方組はみんな俺と同じように準備室でがっくりと項垂れていた。


 あれから大写真撮影会(俺が命名した)は、教室内でパニックに近い形で敢行された。ミーハーそうなクラスメイトは全員表に出てしまい、数人しか残らなかったバックは嵐のような忙しさだった。
 俺も裏方の手伝いにまわったが、それでも慢性的な人手不足。


 写真撮影が終わったやつは戻ってくれば良いのに、お互いのことを牽制しあって、なかなかバックには戻ってきてくれなかったのだ。
 ウエイターをやっていたのは、日下と山崎と俺だけで、裏と表両方行ったり来たりするのは相当ハードワークだった。


 ようやく午後組の生徒の交代時間になり、会長も帰ったこともあって、店内はようやく落ち着きを取り戻していた。


「あれが会長の威力か……」

「そーいや、小鳥遊はこれが初めてか?」


 山崎の言葉に、そうだ、と頷く。


「今の会長は一時モデルだったこともあって、異例なほどのファン数なんだって」

「前会長の時はそうじゃなかったってことか?」

「ファンクラブこそはあったらしいが、ここまで凄くはなかったらしい」

「ご愁傷様だな」

「ホントだよな。俺だったら、絶対無理!」

「お前の場合顔からして無理だって、調子乗るなー」


 他のクラスメイトが山崎にツッコミを入れ、午前中裏方組で笑いが起きた。


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