文化祭当日


 切迫した3日間の怒濤の文化祭準備が終わり、あっという間に文化祭当日。
 学園内はすっかり祭ムードで浮かれきっていた。
 文明開化がテーマの教室内は洋館を模したものになっている。

 俺に宛てがわれた衣装は、外国人将校。きらびやかな装飾がついた黒の軍服だった。
 一見派手に見えるが、シャツは制服の使い回しだし、ズボンは黒のスラックスだから、ジャケットを脱げばそんなに目立つ事も無い。

 日下の方に目をやれば、「どげなもんぜよ」と口にしながら、着物を着てレプリカの銃を弄っている。


「坂本竜馬?」


 金髪の前髪を中途半端にちょんまげにしている所を見ると、坂本竜馬のコスプレにしか見えない。


「おお、よう分かったのう!」

「文明開化には坂本竜馬死んでるだろ」

「わしはこれがいいんじゃきに」


 土佐弁と関西弁が混じると、もはや日本語に聞こえない。


「伊織ちゃんもよう似合っちょるのう! さすがハーフ」

「いや、俺クォーターだから」

「細かい事は気にしんぜよ」

「ほんと何語だそれ……。使い方絶対違うだろ…」


 裏方組の薫はシャツに黒のサロンだった。長身の薫が着ると、裏方は皆同じ衣装なのに格好良く見えるから不思議だ。
 クラスを見渡せば、ドレス姿の女装したやつから、「ハイカラさんが通るをイメージしたのー!」と言っている袴のやつ、普通に侍の格好したのもいれば、俺と同じ様な洋装をしたやつもいる。


 要するに何でもありって訳か。


 学内放送を合図に、華やかな学園祭がスタートした。


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