迷子の産物2
俺のスリーポイントはワンハンド。
感覚はそのままなはずなのに、今の身体の筋力と身長が、前の身体と勝手が微妙に違うらしい。
悔しくなって、ボールを取りに行った。
何度も何度もスリーポイントシュートを打つ。
俺は夢中だった。
何が悪いのか。どの角度で投げれば良いのか。力不足は何処で補うか。
結果的に導き出したフォームは、小学生の男の子がやる様な、両手と両足のバネを利用したシュート。
足のバネと腕の力を調節しながら、何度も何度も最適な感覚と力量を導き出す。
漸く、俺の投げたボールはゴールポストの中に吸い込まれるように落ちた。
「っしゃ!!」
嬉しくなって拳を握って喜ぶ。
同時に後ろから拍手が聞こえてきて、俺は勢いよく振り返った。
「凄いね。まるで、ボールがゴールに吸い込まれているみたいだ」
そこには笑みを浮かべた隆二の姿があった。