「ローションどこ?」
「え、えっと……そこの引き出し」

 オナニーやセックスに使うグッズを人に探られるのはとても恥ずかしい。勇人はもじもじとしながら枕もとの引き出しを指さす。
 薫が自慰に使うためのオナホとローションを出してきた。プイ、と勇人は顔をそむけた。使おうと思って軽く洗ったけれど、なかなか時間がなくて使えなかったオナホだ。薫は性器を扱くようにしてオナホを握ってから、小さな穴の中にローションを垂らした。多すぎず少なすぎず、ちょうどいい量。
 じっとりとした目でそれを見る勇人をなだめるようにしてキスをした。二人で向き合うようにして座って、柔らかい唇をこすりあわせる。甘いキスが次第に深いものになっていき、くちゅ、くちゅ、と舌が絡まる音がする。ぬりゅぬりゅと口の中がとろとろに犯されていく。

「んっ、んぅ、んっふ……んっ、んっ、あ、んっ、はあ……!」

 女性とする時もそうだったが、勇人はキスが好きだ。セックスをする前、している時、とにかくいつでもしたい。ちゅっちゅと唇を甘噛みしながら身体をまさぐられると、とろりと意識がとろけていく。
 薫は勇人の性器に手を伸ばした。ほんのり起きあがった陰茎を握って、優しく撫でこする。こしゅ、こしゅ。するとあっという間に元気いっぱいに勃ちあがって、とろりと透明な汁を先端ににじませるのだ。とても素直で可愛い。薫はぴん、と指で性器を弾いてオナホを被せた。

「あっ! んあっ、あ、あああああっ!」

 女性の膣を模倣した玩具が、容赦なく勇人の性器に絡みつく。ぎゅっと咥えこんで、締め付ける。ホールの中の細かな襞が、突起が、段差が、勇人の精液を搾り取ろうと蠢く。勇人は、思わず腰をへこへこと動かす。それは種付けの動き。
「男の子だから、おちんちん使いたいよね? 今夜はたっぷり精液出して、オナホ妊娠させようね……」
 薫はちらりと勇人の下半身を見た。綺麗に鍛えられた身体、引き締まっているがほどよく肉のついたお尻。その谷間で、粘膜がひくついていた。柔らかく、ぷっくりとしたアナル。
 少し前まで、きまぐれにしか使われなかった快楽の器官。もうここに玩具か薫の性器をハメないと、勇人はイケない。薫の胸がざわめく。背徳感。高揚。暗い喜び。たまらなくなって指をねじこむ。その途端、ちゅっちゅっと吸いついてくるひだひだ。

「あん! あっ、あっ、あぁっ、前も後ろもっ、ダメ!」
「後ろと一緒に前を弄ったら、後ろでイク時に前もイケるようになるんじゃないかな? 男の子のイキ方、ちゃんと思い出してね」

 薫は勇人の性器の半分くらいまでオナホを突っ込んで……先端を握って中の空気を抜いた。

「んあああああああっ! あっ、ああ、ああああっ、ああん!」

 それはまるでバキュームフェラ。ホールが性器に密着して、吸いついていた。その状態で、上下にシゴかれる。体内では薫の指が前立腺をめちゃくちゃにいじめる。
 勇人は何回も何回もメスイキしていた。自分の性器の存在をだんだん感じなくなり、身体全体が穴になったような感覚。

「あっ、あんっ、ちんぽっ、ちんぽほしい! ナカ、がんがん突かれないとイケないの……! ちんぽハメられないと射精できないぃい!」

 ベッドの上で四つん這いになって、両手の指でお尻の谷間を広げる。ぐぱ、と広げられたそこは遊びすぎて縦に割れていた。そんなものを見せられたら薫だってたまらない。何なら玄関からずっと我慢していた。早くつっこみたい。ナカ出ししたい。
 十分に慣らしてローションを足して、つんつんと性器を押し当てる。勇人の粘膜がちゅっちゅっと性器にキスをせがむ。先端を入れてすぐに抜く動作を何度も繰り返して、ゆっくりと根元まで挿入される薫の性器。

「痛くない?」
「うんっ、大丈夫だからっ……ハメてぇ、薫のおちんぽで女の子にして」
「女の子? この前言ったよね、メスだよ。勇人は、ボクだけのメス……」

 耳元で囁かれた。所有物になったみたい、勇人はそう考えて粘膜を震わせる。ぐちゅ、と薫の性器が少しだけ抜かれて、奥を強く突かれた。

「お゛っ、お、おぐっ! あ゛、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」

 四つん這いのまま腰をがっしり掴まれて、めちゃくちゃにかき回される。舌が口の中から飛び出して透明な唾液を垂らす。犬のようにはっはっと荒い息を吐きながら何回も何回もイカされる。それは、メスのアクメ。

「あ゛ーっ! あ゛、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

 あまりの快楽で、涙が滲んで勇人は獣のように喘ぐ事しかできなくなる。ずぷっ、ぬぽっじゅぽじゅぽじゅぽ、と亀頭で奥までかき回される。前立腺をこすられる。挿れたりだしたりするたびにひだひだが、もっともっとと吸いついてくる。乳首をいじると、ビクンビクンと身体を震わせて感じている。腰を動かすたびに勇人の甘い喘ぎが響く。

「ああっ、あああああっ! あん、俺のおまんこっ、薫のせーえきでタプタプにしてぇ……!」

 理性が完全に溶けた勇人は、はしたなく女性器名で呼びながらナカ出しを懇願する。四つん這いでお尻を振りながら、くいくいと強く押しつけてくる。こんなの我慢できるわけなかった。

「はっ、はっ、出すよ……オナホに|射精《ドピュドピュ》しながら、ボクのちんぽで孕んで勇人!」
「あん、そんなこと言われたらぁ! あっ、ああああっ! あんっあん、でるっ、でちゃうぅ!」

 性器にひときわ吸いつくオナホ。体内をこすって精液を吐き出す薫の性器。奥の奥まで塗り込むようにしてしっかり行われる種付け。引き抜くと体内から勢いよく出てくる性器。体内から漏れ出してくる大量の精液が、シーツを汚した。
 勇人は乳首をシーツにこすりつけるようにして崩れ落ちていた。高くあげられた腰、性器に装着されたオナホを引き抜く。ぐちゅ、ぐちゅ、と少しずつ動かして一気に抜くと中からどろりとした液体が出てきた。

「あ、ちゃんとオナホにナカ出しできたね……えらい、えらい」

 頭を撫でる。勇人は頬をふくらませて……枕に顔を埋めた。


 それからシャワーを交互に浴びて、二人でベッドの上をごろごろと寝転がってたわいもない話をした。車やバイクなど、好きなものの話。普通に昔からの友人とするみたいに。ずっと話しているうちに、勇人の酔いは少しだけ落ち着いた。それでもまだぼうっとする。
 柔らかなミルクティーベージュの髪の毛。鮮やかな新緑の瞳。たれ目で優し気で、まつ毛がすごく長い。ベッドで横になりながら、いつもよりも近い距離でそういう何気ないものをじっと見ていた。何となく口から言葉がこぼれた。


「すき」





- ナノ -