年下遅漏ワンコ×淫乱教師

年下遅漏ワンコ×淫乱教師


「青いシャツに黒のキャップ帽、青いシャツに黒のキャップ帽……」

 夏、土曜日、駅前。行き交う人々の群れで暑苦しい。
 僕は汗をぬぐいながら、目当ての人物を探す。


 マッチングアプリで知り合った人と会うのは初めてだ。だからもし、青いシャツに黒のキャップ帽の彼が怖そうな人物だったら、こっそり逃げようと思っている。

 顔も名前も知らない人に会うのだから、やはりそれなりに警戒しなくてはならない。

「あ……あの人だ」

 僕と同じく、人を探してキョロキョロしている男がいた。青いシャツに黒のキャップ帽、間違いない。
 通りすがりを装って、さりげなく顔をうかがってみる。
 
「え」
「あれ、先生? 雪野先生じゃないですか!」

 すぐに視線を逸らすつもりだったが、目が合ってしまった。

 沢渡はぱあっと目を輝かせ、僕の元まで駆けてきた。彼は生徒の頃からこんな感じで、僕を見かけるとなぜか走って近づいてくる。

「お久しぶりです! うわあ、卒業式以来ですね」
「う、うん、久しぶり。元気そうだな」
「はい!」

 相変わらず犬みたいだ。懐かれて悪い気はしないが、まさか彼がマッチングアプリの相手でもないだろうし、今構っている時間はない。そろそろ待ち合わせ時間を過ぎてしまう。

 いや、彼が相手なんてそんなわけ、ない……はずだ。青いシャツに黒のキャップ帽なんてありふれた格好だし、そういえば事前に聞いていた背格好や髪色も同じだが、いや、そんなわけないだろう。

 卒業生とマッチングしてしまうなんて、そんな偶然は――――

「ところで先生、俺、人と待ち合わせしてて……」
「うん、僕も」
「その、待ち合わせの相手の服装が……今の先生と同じなんですけど」

 まさか、まさかだ。
 僕はピシリと硬直してしまった。アプリで仲良くなった相手が、まさか元生徒だなんて、まさか。

「もしかして、メスゆきさんですか。メスイキ潮吹きおもらし可能、本職は高校の古典教師の」
「なっ……え……あ、えぇ……っ!?」
「あの、俺……ちんちんサワーです」
「な、な、あ、あぇえ……!?」

 彼が赤面しながら告げたプロフィールは、紛れもなく僕のものだった。

 そして僕が探していた男のアカウント名は、ちんちんサワーで間違い無かった。


「とりあえず……ホテル、行きます?」




***




 陸上部だった沢渡は、よく一人で走り込みをしていた。汗だくになっても走り続けるから、心配になった僕は、時折タオルやドリンクを差し入れしていたのだ。

 おそらく、妙に懐かれているのはそのせいだろう。

「……夢みたい。先生とホテルの部屋にいる」

 卒業式では、顧問でも担任でもなかった僕に花束までくれた。しかも真っ赤な薔薇がパンパンに詰められた立派なものを。
 花のチョイスが情熱的すぎて、他の教師にドン引きされていたのを覚えている。

 今の彼は、花束を渡してきたときと同じ、少し潤んだ目をしている。


「俺、先生の事が忘れられなくて……アプリで相手探す時、せめて先生に似た人が来るようにって、条件絞ったんです……教師とか、28歳とかで検索した」
「そ、そう、なんだ」
「メスゆきさんのプロフィールを見つけた時、もしかしてとは思ったけど……でも、まさか本人だなんて思わなかった」


 僕も「巨根」で検索しまくった結果、たまたま住所が近くて会えそうだったちんちんサワーさんを見つけたが、まさか彼だとは思わなかった。

 沢渡は緊張した面持ちでベッドに腰かけ、青いシャツを脱ぎ始める。

「先生は、なんで俺と会おうって思ってくれたの? 俺、あんまりプロフィールとか書いてなかったし、写真も設定してないから、怪しかったでしょ」
「そ、それは……」
「それは?」

 ただ一言、巨根ですと書いていたからだ。プロフィールがその一言しか書かれていなくて、逆に妄想が膨らんだのだ。

 どれだけ己の巨根に自信があるのだろう、と。それだけしか書かないという事は、きっとよっぽど巨根なのだろう、と。

「きょ、巨根……って、書いてたから」

 もう何を隠しても無駄だろう。僕ことメスゆきのド淫乱プロフィールを見られてしまっている今、どんな弁明も意味がない。


「……っせんせい、えっちすぎ……です


 僕も服を脱がされる。すでに(色々な意味で)汗だくだった僕らは、共に風呂に入ることにした。


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