様子のおかしな美形×不憫平凡

様子のおかしな美形×不憫流され平凡


 教育実習初日の昼休み、富士野はとんでも無いことを言った。
 ここが生徒も教員もいない、僕ら二人だけの控え室で良かったと思う。


「だからね、桜」
「う、うん……?」
「高校時代、やり残した夢なんだよ……学校でセックスする事。これが最後のチャンスなんだ」

 怒涛の午前を終え、僕らは束の間の休息を味わっていた――のだが、箸を置いたと同時に、富士野がおかしな事を言い出した。

「ふ……富士野?」
「午後の開始まで、あと30分。今からヤればいける」
「いや、だめに決まってんだろ……実習生が生徒に手を出すなんて」
「生徒? おいおい、馬鹿言うな」


 富士野は見た目だけは王子様のような男なのだが、中身は人というよりおさるさんだ。

 彼と幼馴染である僕は、まさか実習先まで重なるなんて、と大層落胆した。ここでも彼に振り回されるのか、と。

「桜と俺がヤるに決まってんじゃん。いやぁ、諦めかけていた夢が叶うなんて!」
「は?」
「母校で桜とセックスができるのは今しかないんだよ!」
「は?」

 少年漫画の主人公のごとく熱く叫んでいるところ申し訳ないが、僕からは「は?」以外の言葉が出ない。

「桜! こういう時の定番は保健室か体育倉庫だけど、たぶん一番人気がないのは屋上だ! 屋上に行こう」
「ふざけんなばか」


 てっきり女子生徒に手を出すつもりかと身構えたが、なんだ僕か、そういう事なら――――ん? まずい、流されいる気がする。

「うわ、離せよ!」

 強く掴まれた手首を振り、僕は富士野から逃げようとする。だが彼の手は離れない。そうだ、こいつは頭は猿だが腕力はゴリラなのだった。

 身も心も凡庸な人間である僕は、いろんな意味で敵うはずがない。しかし、抵抗しないわけにもいかないだろう。

「おい、マジで離せって! 僕はお前と、せ、セッ……するために高校に来たわけじゃない!」
「じゃあ何しに来たの?」
「教育実習だろうが!」
「桜はまじめだね。そういう一生懸命なところ、えっちだなって思ってる」
「知らねえよっあ〜〜〜〜やめろばかばかばかばか……っ」

 やはり、ゴリラの力には抵抗するだけ無駄なのか。ずるずると引きずられているうちに、僕らは屋上に着いてしまった。




***




「っ……く、はなせ、ってぇ……っん、んぅ、んん〜〜〜〜……っ」

 爽やかな風が吹きつける屋上、耳に入ってくるのは、爽やかさのかけらもない荒い息だ。

「はあ……っ桜…… 桜、はあ、キスをするのは、幼稚園以来だな、はあ、はあっ
「っ、まじで、やめろ、このばか、ぁ……っん、はあっ、んぅう、んぐっ、っく、は……っ」
「やめてほしいなら、俺の夢に協力すればいいだろう、桜は馬鹿だなあ……
「え……っそ、そう、なのか……? ん……っはあ、ん、そっか…?」

 協力した方が良いのか? そうしたら、やめてくれるのか――――って危ない危ない、また流されるところだった。

 彼の顔面が良すぎるあまりに、うっかり従いそうになる。僕は目を瞑り、極力目を合わせないようにした。こうすれば騙されないはずだ、あの王子様フェイスに。

「桜…… ふふ、それは俺を受け入れるという事だね」
「へ? ぁ、んむ……っん〜〜〜〜……っひ、ぁ、あ
「目を閉じるなんて馬鹿じゃないか? そういうところも何度オカズにした事かっ
「ぁ、ど、どこ、触って……っ〜〜〜〜

――――手が、おしりに……!

 安物のスーツだから、乱暴に扱うと破れてしまう。にもかかわらず、富士野はベルトも外さずに手を突っ込んできた。おかげで腰回りがギチギチだ。

 下手に動くとスーツが破れる。おしりの割れ目をなぞってくる手をどうすることもできず、僕は動きを止めた。

「……ぁっ あ、っくぅ……っ
「大人しくなったね…… そうだよ桜、それが賢明だ。はあ、はあ……っ
「ひ、ぃっ っくそ、あっ そんなところ触るな、さわるなぁ〜〜……っ

 ずぷ、ずぷっ くちゅっ くちゅくちゅっ



 オナ禁した方がモテる、という噂を信じていた僕は、ここ最近抜いていない。そのせいで、際どいところを弄られると、身体が勝手に反応してしまう。

 しかし暴れるわけにもいかないし、どうしたものか。くらくらと揺れる脳内で必死に考える。導き出した結論は、幼いころから何度も使ってきたあの策だ。

「ふ、ぁ ふじ、の……っんあっ ん、き、嫌いになるぞ、お前の事、嫌いになるぞっ もう遊んでやんないぞっ

 彼は見た目と中身のギャップが激しすぎて、僕以外に友人と呼べる者がいない。だから、この言葉は効果てきめんのはずなのだ。

「それ以上、ん 好き勝手してみろ、ぁ ん、あんっ 嫌いに、なりゅから、な……っぉ、おい、嫌いになるって言ってん、だろぉっ おしり、すんなっ あっ ずぽずぽって、すんにゃ、やめりょぉ……っ
「桜、俺はね…… 桜をメス堕ちさせたいんだ ”悔しい、でも気持ちいい”って顔が見たいんだ。だから嫌われても別にいいよ、むしろメス堕ちさせ甲斐がある」
「てっめえぇぇっ ふざけんな無敵の人かよっあ あっ あんっ

 ずぷ、ずぷっ ずぷ、ずぷっ

 割れ目をなぞっていた指が、一本、二本、そして深く深く沈み込んでくる。「はあ、桜……っ 桜……っ」湿った息が顔中にかかって気持ち悪いし、スーツは今にも破れそうだ。

「……っく、そ 本当に、も、う 遊んで、やらないぞっ
「大丈夫だよ、俺、勝手に桜で遊ぶから」
「し、しね、まじでしね……っあ そ、そこ、ひぃん あ、だめっ 富士野、んぉっ そこ、やめて、やめて、あぅ、やばいってぇ……っ〜〜〜〜
「メスイキスポット発見

――――変だ、そこをコリコリって、されたら……っ

 ずぷっ ぐちゅっ ぐちゅ ずぷっ

「〜〜〜〜……っ ん、くぅ、ん〜〜〜〜……っ や、ばい、あっ ああっ あぁあああん……っ
「はあっ ねえ、今射精したら、スーツもパンツもぐちょぐちょだよ…… いいの? 午後からも授業あるけど、ふふ
「や、だ あっ、んぅ、脱ぐ、脱がして、はやく、はやくぅ……っ だめ、いく、いっちゃう、だってオナ禁してたもんっ ずっと、むらむらしてたもんっ うぁああ、んぅうう……っ はやく、脱がせてぇ……っ
「ふふ、しかたないなあ


 ずっとおしりをずぽずぽ していた指が出て行った。もうすでにパンツはぐちょぐちょだが、このまま射精したらスーツにまでシミができる。

 はやく脱がなければいけない にもかかわらず、富士野はわざとゆっくりベルトを外してくる。「はやくっ はやくしてぇっ」「うーん、絡まっちゃった」「ベルトが絡まるわけないっ はやく、んぅ、で、でちゃう、ずっと、なんか、余韻が……っ


 おしりの中でジワジワと、気持ちの悪い快感が残っているのだ。あと少しでも刺激を受ければ、爆発してしまいそうな快感が――って、え、なんで、まだ脱いでいないのに、また手を……っ

「ごめん桜、ベルト壊れた」
「お、お前っこの馬鹿力っあああぁあぁあっ だからって、おしり、再開すんなやぁあっ

――――だめだ、イクッ スーツもパンツも履いたままなのに、ここは学校で、しかも屋外なのに……っ

「〜〜〜〜……っ


 腰がビクビクと跳ねた。久々の射精は気持ち良すぎて、太ももを大きく閉じたり開いたりしてしまう。

「ん、ぃ……っ……ぉ……ふぅ、ん……っ
「桜の腰振り射精ダンス、えっちだね…… 俺も見てるだけでイキそうだよ
「ぁ、……〜〜〜〜っ っく、ぁ、はぁあああん……っ


 びゅるっ びゅるるるるっ ぷしゃっ ぷしゃぁあああっ

 恐る恐る視線を落とせば、股間の色が濃くなっていた。泣きそうだ。どうしてこんなことに。

 教育実習の初日、精液と尿(いや、匂いはしないから尿じゃない?)で汚れたスーツを着たまま午後に挑むだなんて。


最悪だ。一体僕が何をしたというのだ。


「ぅ、うう、うぇえん……っ、ひっく、ふぇえん……っもう、絶対遊んでやんないぃ……っ」
「桜……っう 出るっ
「え……っんぐぅ


 僕の泣き顔を見た瞬間、富士野は鼻血を垂らしながら射精した。しかも奴はきっちりズボンの前を緩め、ビンビンに勃起したそれを天に向け、青空にぶっかける――――のかと思いきや、僕の口にぶち込んできた。

「う、うう……っんぶ、ん〜〜〜〜……っ
「はあ、はあ……っ 桜のおくちまんこ…… 桜のおくちまんこ…… ふふ、桜のおくち、妊娠させちゃお……
「〜〜〜〜……っ っぐ、はあ……っ この、やろ……っ

 地べたにおしりをつけたまま、僕は後ずさりする。富士野がちんぽを押し込んでくるから、苦しくなって仕方なく、だ。

 細かい埃が積もっているのか、後ずさりするたび、ざりざりと嫌な音がする。しかし時すでに遅し。最も聞きたくなかった音が聞こえてきた。

 ビリリ、と布が裂ける音。


「あ……っスーツが、おしりの、部分がぁ……っ」

 よりにもよって、こんな間抜けな破れ方があるか。おしりの下の方がぱっくりと割れて、まるで、まるで――――

「あはは、おまんこみたいに破れてるじゃん
「……っ

 富士野と同じ思考だなんて、それだけで屈辱だ。


「さて、セックスしようか……勇貴


 next→





 ←index ←home


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -