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様子のおかしな美形×不憫流され平凡2
桜勇貴と富士野佑綺、二人とも「ゆうき」だね、なんて呼ぼうか、と照れ笑いしていたあの日から、富士野は僕をえっちな目で見ていたらしい。
いや、おかしいだろう。初めて会ったのは3歳とかなのに。ああ、でもそういえば、出会い頭にキス(ベロチュー)をされたっけ。
そして富士野のお母さんが血相変えて謝ってきて、それから交流が始まったんだっけ――――
ずちゅずちゅずちゅずちゅっ パンッパンッパンッパンッ
「んおっ んっぐぅ はあっ っくそ、この、ばか、ばかばかばかばか、ばかぁ〜〜〜〜……っ」
パンッパンッパンッパンッ パンッパンッパンッパンッ
万が一誰か来ても誤魔化せるように、と悪知恵を働かせた富士野は、服を着たままセックスしようと言い出した。
僕のスーツの裂け目にちんぽを突っ込み、パンツを無理矢理避けて、パンッパンッ と激しく抜き差ししてくる。
「うう、あ、遊んで、やんないっ もうお前とは遊ばない、きら、きらいだもんっ んぁ あぁああ……〜〜っ」
「それメス堕ちフラグだよ。そうやって俺の事を嫌うけど、ちんぽには逆らえないってなるやつでしょ? 本当に桜は俺のツボをわかってるなあ……」
「ひぃっ このサイコ野郎っ あっ あっ 美形だからってなんでも許されりゅと思うにゃぁああっ」
パンッパンッパンッパンッ ぱちゅん ぱちゅん ぱちゅん ぱちゅん
思えばこいつは、初対面の頃から何も変わっていない。何が面白いのか、僕みたいな普通のやつに付きまとっては困らせてくる。
彼なりに僕を好いていることは知っているが、独特すぎる愛情表現にはもう付き合いきれない。学校でセックスするのが夢だかなんだか知らないが、僕にだって夢があるのだ。
「っ……っく、……っ ん……ぐぅ……っ」
「泣きながら喘ぐ桜…… かわいいなあ……っ」
「ふ、ぅ、うう……っ や、めろ、このっ……ん、ぅ、ぁあっ」
高校教師になる事。
こいつとは別の、年上の幼馴染に憧れていた僕は、彼の職業である高校教師にも憧れていた。
「っ……う、んぅ……っ はあ、っく…… うう、たすけて、仁くん……っんああぁああぁっ」
「あっれー、そいつの名前出すの……ラブラブメス堕ちセックスじゃなくてブチギレお仕置きレイプがお望みなのかな?」
「あっ ぉあっ んぉっ んぉっ んぉおぉ……っ」
パンッパンッパンッパンッ パンッパンッパンッパンッ
パンパンパンパンッ パンパンパンパンッ
ずちゅずちゅずちゅずちゅっ ずちゅずちゅずちゅずちゅっ どちゅどちゅどちゅどちゅっ どちゅどちゅどちゅどちゅっ
「やぁ、仁く、ん 仁くぅ、んぅ〜〜〜〜……っ」
「仁じゃないでしょ。お前のおまんこどついてるのは俺。はーい、呼んでみようね」
「……っ……っ ん、んぅ……んぅん……っ」
意地でも呼ぶもんか、と口を閉じる。鼻の奥から漏れる喘ぎ声だけは抑えきれないが、それでも僕はもう、こいつに振り回されるのはうんざりなのだ。
絶対に流されない事を固く誓い、唇をかみしめた。
「桜、ひどいなあ……俺の気持ちとか考えたことある?」
「……っ……ん、ぅ……ふーーっ、ふーーっ……」
うるさい。お前こそ僕の気持ちを考えたことがあるのか。
パンッパンッ パンッパンッ
「桜さあ、俺と遊んでる時も、仁から連絡があったらそっちに行くよね。職業まで仁の真似で、どんな時も仁ばっかりで……! くそ、なんで……! 俺だって桜の幼馴染なのに、なんで、あいつばっかり!」
「え、ぁ、ふ、富士野……っ」
パンッ……パンッ パンッ……パンッ
「俺、桜の気を引くためにいつも必死で……っう、うう、なのに、ひどいよ桜、俺とセックスしてるのに、なんで仁の名前なんて出すの……っ」
「だって、お、んぁっ お前、あ、あ……っ」
「今くらい、俺のこと見てよ……実習が始まったらまた、桜は仁にべったりじゃん、なんだよあいつ、なんで桜の指導教員なんだよ……っふざけんな、いつもいつも邪魔なんだよ……っ」
「……っふ、ふじ、の……」
富士野が泣いている。きれいな顔を歪ませて、腰を振るのをやめて、ぽろぽろと涙を流している。
彼が涙を見せたのは、過去に一度だけだ。
小学生の時の、僕の祖父のお葬式――泣きじゃくる僕を富士野が抱きしめてくれた。でもその時、仁くんが僕の名を呼んで、それを聞いた僕は、富士野の胸から仁くんの胸へと移動した。
あれ以来富士野の悪戯はエスカレートしたように思う。そうか、彼がこうなったのは、僕がひどい事をしたからなのか。
「ご、ごめ、ん……っ富士野、ごめん、泣かないで……っあ、ぅ」
「桜……」
「せ、せっくす、したいなら、していい、から……っ好きなだけ、めすおち、させていいからぁ……」
「桜……っ」
涙を指で拭ってやると、彼は美しい笑みを取り戻した。
本当に顔だけは最高にいい。歪んだ性格は、あの時の僕のせいなのだとしたら、少し申し訳ない。
「あ……っ ん、ぁあっ あ、ん、あ、んぅ……ん、ぅう、はあっ」
「ほーんと、桜ってちょろいんだから……そういうところ、いつもオカズにしてる」
「え……?」
「何でもないよ、桜、中に出していいっ? はあ、いいよね、っ」
「っ、あ、んぅ……〜〜〜〜……っ」
びゅるるるっ びゅるっ びゅーーーーっ
パンッパンッパンッパンッ パンッパンッパンッパンッ
ぱちゅん ぱちゅん ぱちゅん ぱちゅん
下半身も上半身もべったり密着させて、富士野は何度も僕の名前を呼んだ。
ぐちゃぐちゃになったシャツと、破けたズボン。精液を注ぎ込まれた腹、濡れている下半身。
さて、チャイムが鳴ったわけだが、僕は午後からどうすればよいのだろう。