陰キャ新人×性悪媚びマン上司

陰キャ新人×性悪媚びマン上司

※首絞め
※ややヤンデレ




 新入社員たちは皆、自信に満ち溢れた顔をしていた。
 ギラギラと野心に燃えており、私たち上層部の人間を前にしても決して怯まない。


「フンッ…… 悪くありませんね」


 真新しいスーツに身を包んだ男たちを、一人一人観察していく。おもに股間部分に着目し、推定ではあるが、彼らのちんぽをチェックしていくのだ。

 左から巨根、ヤリチン、ヤリチン、巨タマタマ、ヤリチン、童貞――――童貞? まさか。うちのようなエリート企業に、童貞などいるはずがない。

 一体どんな芋臭い奴が紛れ込んだのか。顔を確認してみると、そいつは長い前髪で目元を隠しており、自信なさげに背を丸めていた。
 他の者が皆胸を張っているだけに、陰鬱な佇まいがひどく悪目立ちしている。

「ちょっと、そこのあなた」
「ひぃっ、は、はい……」
「なぜ、あなたのような童貞臭い芋ガキが潜り込んでいるのです? フンッ……うちの厳しい採用試験を突破できたとは思えない」
「あ……あ、いや、その……ぼ、僕は……」


 消え入りそうな声。思わず私は吹き出した。幹部たちもざわついているし、まさか、こんな奴がうちでやっていけるわけが――――

「高ノ宮くん」
「おや、社長…… んふ どうしました?


 すかさず媚びマンする私だが、社長は私のおしりをパシン! と強く叩いた。いつもならデレデレしてちんぽを取り出すのに、一体どうしたのだろう。

「そいつは私の息子だ」
「え……えっ? 社長の……えっ!?」
「そこの童貞臭い芋ガキは、私の息子だ」
「あ……! あ、あの、申し訳ございません……わっ私、知らなくて、その……」


――――うそだろ、社長の御子息……!? 強者の雄オーラ満載の社長から、どうやってこんな陰キャが生まれるんです……はっ、こうしてはいられない! 権力者には、即媚びマンせねば!


 私は咳払いを一つ零し、猫背の彼に擦り寄った。「ひぃっ」と情けない声をあげた彼は、一瞬だけ背を伸ばす。そこで初めてわかる、案外大柄でガッシリとした身体つき。下から覗き込めば、なるほど素材は悪くない。

 私は胸板に頬をすりすり、媚び媚びの瞳で見上げる。


「ごめんなさい、私ったら軽率でした…… あん、よく見ると良い男……
「え、あ、あの、近っ……う、メス臭っ
「んふ…… 仲良くしましょうね、新人さん 私は高ノ宮。あなたの教育係です」


「……よろしく頼むよ」社長は私のおしりを揉みながら、そっと耳打ちしてきた。「あん…… はい、もちろん……」よろしく、というのは、今夜よろしくという意味だ。

 決して、息子を鍛えてやってくれとかそういう意味ではない。




***




 媚びマン一つで上層部まで上り詰めた叩き上げリーマンである私と、おぼっちゃま育ちの陰キャ新人。
 さてどうなることやらと思っていたが、意外にも私たちはすぐに打ち解けた。

 正確には、私たち、というより、彼が一方的に懐いてきたのだ。


「高ノ宮さん、頼まれていた資料……で、できました、合ってるか自信ないけど……」
「んふ……完璧 さすがですよ弥生くん。さて、そろそろお昼にしましょうか」
「あ……きょ、今日も、ご一緒していいんですかっ?」
「もちろん。私のかわいい弥生くん
「あ、ああ、ありがとうございます! へっ、へへ、ふへへっ……」


 真っ赤な顔でちょこちょこと後をついてこられるのは、まあ悪い気はしない。

 社員食堂の隅っこに席を確保してくれた彼は、「何にしますか」「僕、取ってきます」「飲み物は温かい方がいいですか」と、あれこれ世話を焼いてくる。

 どちらかというと人に尽くすことが多かった私は(そもそも媚びマンリーマンですから)、最初こそ慣れなかったが、何やら楽しそうなので最近は好きにさせてやっている。


 社長の息子をパシリにしているようで恐縮ではあるが……「高ノ宮さん! ど、どうぞ、B定食取ってきました……」褒めて褒めてと言わんばかりの表情。そしてそれを読み取られまいと右往左往する目……本当に、芋臭い


「ありがとう、弥生くん。さすが私のかわいい部下です。一番、有能……
「ひぃ……ひひっ……ひひひっ……もっと言って……
「でもいいのですか? 君、たまには同期の子たちと親睦を深めては?」
「い、いや……同期の人たち、みんな圧倒的陽のオーラで……あっ高ノ宮さんも陽ですけど、や、やさしいから……しっしかも、高ノ宮さん、最初は怖かったけど、あれってたぶん僕に期待してたからだし……ひひっ、今は僕だけにやさしいし……ひっ、ひひひっ……」
「……んふ 当然です、弥生くん ほら、あーーん……
「おっ おっふ…… あ、あーーん……


――――ちょろ! ちょろすぎでしょ、これだから童貞は。私としては、未来の権力者に媚びマンしているだけなのに。それをこんなにはしゃいで……ちょっと哀れですけど、利用させていただきますよ……


「僕、どこに行っても親の七光り……で、優しくしてくれる人、いるけど……あんまり信頼、できなくて……みんな、僕じゃなくて父さんが目当てだから」
「そうなのですねぇ……ひどい人たち……
「う、うん…… でも高ノ宮さんは、僕の事裏切らない……よね? ほ、ほんとに、僕が好きで、やさしくしてくれてるんですよね……? 僕だけに、やさしい……よね? 有能だなんて褒めてくれる人、は、はじめて……ですし」



――――フンッ 童貞はこれだから……一丁前に独占欲なんて振りかざしちゃって、まあ。生意気ですこと……


 私は舌で唇の端を舐め、軽く伏せていた睫毛を持ち上げた。彼の黒い瞳が、前髪の隙間からじっとこちらを見つめている。

 少し不気味な黒さだが、媚びマンを生業としている私にとって、この程度日常茶飯事だ。

 社会人なんて、皆大なり小なり病的だ。そこにうまく潜り込み、すかさず媚びマン…… するとあら不思議、分厚くなるお財布、高くなる地位……

 
 
 媚びマンリーマンに必要なのは、何を差し置いても度胸。自分に依存したがっている面倒な雄を、うまく渡り歩くためのタフな心なのだ。


「今夜、ごいっしょしません? 私の弥生くん……
「そ……っそれって、その……!」
「んふ…… えっち、ですねぇ……
「う”っ…… 待てない、待てないよぉ、高ノ宮さん……っ


 机の下でビンビンになっているであろうそこを、足の裏で突いてやった。弥生くんは駄犬のように息を切らし、それでも私から目を離さない。


「ぼ、僕にだけ……やさしいんだ、高ノ宮さんは、へへっ……ふひっ……ふへへ……表面だけ媚びへつらって、裏で馬鹿にしてくる連中とは違うんだ……へへ……」
「……フンッ
「あぁあ”……ひひっ……い、今のは、ツンデレだ……照れちゃって、鼻を鳴らす……ふひっ……か、かわいいなぁ……へへへっ……」


 じっとりと濡れた感触が、足の親指の裏に伝わってきた。

「あん…… 足が、孕んでしまいますぅ……
「う”っ


 媚びマンリーマン高ノ宮睦実、30歳。特技はまんズリ、ゴマすり、あてこすり――――さあ、この惨めったらしい勘違い陰キャ相手に、今夜、本領発揮といきますか……


 next→





 ←index ←home


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -