にゃんにゃん
「どうですか…?」

可愛いに可愛いをプラスするのだから、

「すげぇかわいい」

の他に向かう先は無い。

おずおずとやってきたカイトに笑い返すと、ほっとした様に笑って照れたりする。

堪らなくなって引き寄せた腕の袖丈は指先が少し見えるくらいの長さで。

「こんなの付いてたんだ」

「気付かなかったんですか?」

手のひら側には肉球のイラストがプリントされていた。

こっちにしか目が行かなかった、とカイトに被せたフードには左右に耳が付いている。

出先で偶然見つけたパーカーは、迷いに迷って手に取った代物だ。

買うか買わないか、では無く。
猫か兎か熊の三択だった。

需要があるから供給があって流通する。なんの後ろめたさもない。

「犬があれば良かったのになー」

「俺、ねこも好きですよ」

猫手を作ったカイトが笑って、にゃーにゃーとか言うから。

思わず耳を疑って見つめ返すと、途端に染まった目元が逸れる。

「う、浮かれてすみませ」

「ワンモア!ワンモアセ」

「無理です、もう無理です」

耳まで真っ赤になった子が泣きそうな顔をするから、渋々引き下がって間も無く。

「そういえば、」

マスターのは無いんですか?と問われて再度、耳を疑った。

「…え?」

いやいや…
またご冗談をと笑っても、瞬いたカイトはきょとんとするばかりで。

そういうのは可愛い子が着るから可愛いんだ、と切に訴えてみても。

「マスターも似合います、よ!」

妙な真剣さで訴え返される。

「…サイズとか」

「俺と同じじゃないですか」

「…う、ううん」

「…俺とお揃いじゃ嫌ですか?」

じわりと滲んだ青い瞳に、嫌じゃないです!と即答した俺は、
もう直ぐアラウンドサーティの枠に捕らわれる身の上ですが。

それでカイトが喜ぶのなら、何か問題でも?の姿勢を貫き通した。

気を抜いて出た宅配便の兄ちゃんだったり、唐突にやってきた友人だったり、兄弟だったり。

主にその辺の輩に対して。


end
カイトだと〜ってコメ頂いた方へ^^
同じ主題の赤版・v・)つ

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