マス赤+カイト
「ホントだ、繋がらないなぁ」
単調なアナウンスを聞いて通話を切る。
「怪しい」
アカイトの断言にカイトの肩が跳ねるから、溜息をついた。
「おまえは、昼ドラ観過ぎ」
あいつが、そんな器用だとは思えない、し。
第一こんなもんで一々怪しまれてたら、安易に残業も出来たもんじゃないな…
「何か話聞いてないの?」
「…それが、その、最近ちゃんと会えてなくて…」
「話して無いってこと?」
「えっと、冷蔵庫の、ホワイトボードで」
うん?と聞き返すとぽつぽつとカイトが説明を始める。
朝も夜も擦れ違いがちだからと筆談でやり取りをしてるらしい。
「それはそれは…」
なんというか、あいつらしいなぁと苦笑して、
アカイトにうちもやる?と聞いたら面倒臭いと即断された。だよな。
「暫く忙しいって、でも訳は教えて貰ってなくて、ですね」
「やっぱ浮」
「あーもーアカイトちょっとあっち行ってろ!」
俯いてたカイトの瞳からついに涙が落ちるから、
反射的にアカイトへ怒鳴ってから後悔した。
「あとで謝ったって許さないからな!ばーか!ばーか!」
泣く直前みたいな顔したアカイトがばたばたと寝室に逃げる後姿にまた深く溜息。
これでうちまでこじれたらどう責任取って貰おうか、と今は居ない友に思った。
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