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「分かりました。でも、僕が言うのもなんですが見ていてはらはらしてしまうので、なんと言うか……怪我とか気をつけてくださいね。僕も気をつけるので」

言葉を選びながら、言い聞かせるようによしよしと頭を撫でられた。反応に困りじっと見つめているうちに、じりじりと顔を背けられる。

「あの、ごめんなさい。調子に乗ってしまいました」

急に全くこちらを見てくれなくなった。そんなに気を遣わせてしまったのか、反省。気をつけるね、と顔を覗き込んでみるけど手で覆われてしまった。見える範囲の頬が赤い。もしかして走って疲れたのかな。

「えーっと、ずっとここに居るのもあれですね、どこか移りますか」

「そうだね。葉桜も疲れてるみたいだし」

「はい、もう、心臓がばくばくです」

え、そんなに。
這いつくばるような今の態勢は楽じゃないだろう。それにここは角度によってはばればれだし、部室のどれかに避難するか。立ち入り禁止にはなっていなかったはずだ。

「このまま上がって、開いてる所に隠れよう」

低い姿勢を保ったまま階段を上りきり、部室棟の周囲に人影が無いのを確認して手前の部室の前に立つ。念のためノックして、ドアノブを捻ってみる。

「あ、開いた……あ」

ばたん。開いたドアをすぐ閉めた。やってしまった。ノックしたのに、人が居た。中から「引っ張り込め」と物騒な声が聞こえたので、階段から顔を覗かせる葉桜に逃げろと手で合図を送る。ここで俺が逃げたら葉桜も見つかってしまうので、仕方ない。
内から開いたドアより手が伸びて、逆らわず中に招かれた。















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