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「あれ、どこ行った?」

「校舎じゃねーか?」

「あいつら意外に足はえーな」

期待通りに校舎の方へ走って行く先輩たちの足音に息を吐く。葉桜の機転にお礼を言おうと隣を見たら目が合ったけれど、なんとも言えない表情に困惑する。

「大丈夫ですか?」

「え?うん、まだ走れるよ」

「そうじゃなくて」

何が違うと言うのだろう。首をかしげると泣きそうな顔をされて焦った。

「なに、どうしたの?どこか怪我でも……」

「また助けてもらってしまいました」

……もしかして体育館で中傷された時のことを言っているのだろうか。それしか思い当たらない。けれどあれは。

「自分のために文句言いに行っただけだよ」

容姿で判断されること自体には慣れている。でも慣れと許容は別だ。初めましての接触が面と向かってなら、誰でも最初は見た目しか判断材料がない。ただそこで勝手に断定してしまって吹聴するような真似は受け入れられない。

「強いんですね。かっこいいな」

「……弱いよ、すごく。……だからここに来たんだ」

いくら「違う」と言っても、話は聞いてくれるのにみんな理解はしてくれなかった。だったら初めから、中身の方に合わせれば良い。

「ゆーやくん?」

「ん、ごめん。とにかく気にしないで。そんな顔しないで」

つられてくれるのを期待してにこりと笑ってみる。何か言いたげではあったけれど、葉桜は微笑んでくれた。









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