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気になったことが1つ。説明の終わりに付け足された寮長の一言。

「昼食を終えたら順番に上級生が挨拶に行くのでできるだけ部屋に居てくれ」

順番に上級生が……部屋を訪れる?
食堂の決められた席で昼食を取りながら隣の健助にも聞いてみるけれど、そのままの意味だろうと。

「まあそうなんだろうけどさ。なんか緊張しない?」

「変な部屋だと言われなきゃ良いな」

「確かに……」

素顔を隠した2人の組み合わせがそんなによくあるものではなく、1人ずつよりインパクトは大きいのではないかなと思う。けれどその分興味が分散するだろう、というのは俺の期待。

「ところで健助、ナス嫌いなの?」

昼食のメニューはいくつかあって、健助は和食を選んでいたのだけど、そのうちのナスの煮浸しだけ手付かずだったのが気になっていた。

「……苦手。使い古したスポンジ、みたいで」

すごい表現するなあと思いながら、小鉢から少しもらってみる。

「半分食べてあげるから、頑張ってみなよ」

健助が頷いたのでもらった分を口に含む。だしが染み込んでいて美味しい。俺が選んだ洋食も美味しかったし、寮長が自慢気になるのも分かるなあ。うんうん頷きながら食べているのを見て健助が恐る恐るナスに箸を伸ばしていて、少し可笑しかった。






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