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門を抜けると続く桜並木。満開とはいかないまでも蕾はほころび、八分咲きぐらいだろうか。十分に式に彩りを添えてくれた。

「桜咲いて良かったな。天気も良いし」

「そうだな」

健助は相変わらず口数が少ない。視線を辿ることもできないけれど、同じように桜を見ているのだろうか。1週間フードを取った姿を見ることはなく、無理に覗き込んだりもするつもりはないので素顔は謎のままだ。かろうじて肩ぐらいまでの黒髪が見えるかな。本人からちゃんと周りが見えているのかが心配。
ただ素顔を見せていないのは俺も一緒なので、お互い様ってことで。

「フード怒られなかったんだな」

「侑哉も」

「うん。でもネタにはされた」

この装備で悪意なくいじられるとは思ってなかったな。思い出して口元がにやけるのでマスクを上げる。

「……俺も1組が良かった」

「うん?」

健助がぼそりと何かを呟いたけれど、独り言だったのかそれ以上続くことはなかった。

「2組はどんな感じ?」

「普通」

「自己紹介とかした?」

「した」

互いのクラスの印象を話しているうちに寮が見えてくる。玄関に入ると、新入生は荷物を置いたら談話室へ、と書かれた貼り紙がしてあったので従った。
内容は改めてのルール説明、特に各設備備品の使用について。
お風呂なんて特に人数が少ないうちは適当だったから良かったものの……と構えたけれど、1年生の間は最後の入浴時間になるようなので、なんとかなりそう。











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bkm







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