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「ん?お前、ちょっとマスク下ろしてみろ」

「え?なぜ?」

笑ったの気づかれたのか。ってぐらいに急に言われて驚きつつも、指示通りにマスクを下ろす。先生はまじまじと俺の顔を見て何度か頷いた。

「あー、なるほどなあ。確かにこれはマスクをした方が良い」

「え?」

言葉の意味がすぐに飲み込めなくて固まる。今のタイミングでこれはなんだか、ニュアンスがおかしい。

「ただな、お前のそれは引きつけやすくもなるから注意するんだぞ」

「……気弱に見えて絡まれやすいってことですかね?気をつけます」

無難な言葉を返したら先生は少し意外そうな顔をした後、苦笑した。

「まあそういうことだ。分かったら行って良いぞ。プリントありがとな」

「はい、失礼します」

礼をして職員室を出る。
金剛先生が本当は何を言いたかったのか分からないけど、多分あれで良かったと思う。忠告はしっかり受け止めておこう。そもそも元々絡まれやすくはあったけれど、種類が違ったものになるのかな。なんだろう、いじめとかカツアゲ?

「侑哉」

考えながら靴を履き替えて玄関を出たところで声をかけられた。1週間ですっかり耳に馴染んだ声。

「健助。良いタイミングだな、一緒に帰ろう」

「ああ」







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bkm







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