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さて、と一呼吸おいて長い足を組むと、先生の雰囲気が少し重くなった。下手に動くと安静にしなさい、とかえって怒られかねないので、気持ち程度に背筋を伸ばす。

「では君が眠っている間の話をしましょう」

「お願いします」

「とは言えここへ運ばれる前のことは詳しく知らないので、それは居合わせた者に聞いてください。宗弥くんとかね。ここへ運んで来たのも彼だったよ」

俺が睡魔に完全に負けたのは健助の腕の中だったから。彼が身内同然に思ってくれている俺を他の誰かに運ばせるとは思えないので予想通りだった。蕗口は一緒に自分の足で歩いて来たらしい。

「血を見るまで付き添いかと思ったよ。ずっと君の心配をしていました」

処置を受けた後でしばらくは俺の隣のベッドで寝ていたそうだ。朝には病院でちゃんと検査も受けさせてもらったみたい。
問題は無道、あの人だ。

「事情を聞いたら意識が無くても同じ部屋に入れることは許可できないので、適当な物資を与えて、君と加害者の担任のもと安静にさせておきました。はあ、そのまま腐って落ちれば世の為になったろうに……おっとこれは聞かなかったことに」

唇の前で人差し指を立てる動作が異様に似合う。一瞬光が消えた目は本気っぽかったけれど、その後の綺麗なウインクとのギャップがすごい。

「夜の間に理事には話を通しておいたから、既に学園には居ないはずだよ。この志常の土地は二度と踏ませないから安心して」

その言葉と優しい笑顔への安堵よりも、先生がやっぱり運営に関わっていそうだということの方が気になってしまった。





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