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「でもそれって現時点の話で、これからどうなるかは分からないよね」

食い下がる蕗口。人間の気持ちの移り変わりはよく知っている。俺だって、勿論例外なんかじゃない。だからこそそれに期待したり怯えることの辛さを無視できない。

「ごめん」

「…………はは」

突然肩を震わせ始めたと思ったら、笑っている。困惑して一瞬だけ横目で見ると目が合ってしまったので慌てて逸らした。視界の端でさらさらと彼の髪の毛が揺れている。

「やっぱり。そういう、視線も姿勢も真っ直ぐなとこが好きなんだよな」

たぶんひとり言だったのだろうけれど、そんな風にしみじみ言われると困ってしまう。そうやって黙り込む俺に構わず、今度は問いかけてくる。

「昨日言ってたよね。少しだけ俺が怖いって」

言った……ような気がする。怖いのか?と聞かれたからだったと思う。動揺していたからちゃんと受け答えできなかったのは悪いことをしたなと思う反面、今このタイミングでそれを確認する意図が読めず少し緊張してしまう。

「でも俺のこと嫌いじゃないでしょ?」

「うん……え?うん……、なんで?」

反射的に肯定したものの、思ったよりも蕗口が、なんと言うか強くて、聞き返してしまった。

「今は友達でいてくれない?」

彼は本当に読めない。
むしろ良いのか?





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bkm







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