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「少し脈が早いですが、新しい環境に緊張していますか?それとも、僕に……?」

いつの間にか少し下降した指で脈を計られていたらしい。そして問われた理由、環境にっていうのもあるけど、今は目の前の先生に緊張しているからが大きい。

「怖くないですよ〜大丈夫だよ〜」

口ごもっていると、あやすように囁かれ、うなじに回った手が後頭部から首筋までを優しく撫でる。ものすごく小さい子扱いされている気がする。
そういえばさっきから少し気になっていたけど、緋吉先生の口調は丁寧語だったり、かと思えば砕けたりしているのって、生徒扱いと小さい子扱いとを行ったり来たりしている感じだったりするのだろうか。

「大丈夫です……あの、恥ずかしいので、その」

「ふふ、素直でよろしい」

よしよし、と数回撫でられたのち解放され、眼鏡も返ってきた。危ない忘れるところだった。慌てて装着。

「他に聞きたいことはないですか?」

「はい、今は」

「そうですか。では改めて、これからどうぞよろしくお願いしますね」

差し出された左手に手を重ね、握手を交わす。

「3年間よろしくお願いします」

遠慮はいらないからね、と付け足された言葉に、これからきっと、たくさんお世話になるだろう、そんな予感がした。








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