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「健助って道具とか使わずに筋トレするタイプ?」

「いや……人が居ると、集中しにくくないか?」

普通に遊んだのではあまり筋トレにはならないし、本人にそんなつもりがなくても、例えば雲梯で懸垂とか変わったことをすれば好奇の目が集まる。

「夜中に公園でやってたら、職質されたことある」

「え」

「学生っつったら帰らせられるし」

「そうだろうね」

声色が少ししょんぼりして聞こえて、悪いけれど笑ってしまった。笑ったな、と言葉だけで咎められはするものの、反対になぜか健助の機嫌は良くなったように思えた。

「堰ー!宗弥ー!早くアスレチック!!」

そこで返却し終えて全力疾走で戻ってくる桐嶋とすれ違う。速過ぎて風がすごいし語尾が遠くから聞こえる。

「分かったー!」

届くか分からないけど手を振って応えておいた。

「さっと返して戻ろうか」

「そうだな」

グループ行動だからと、揃わないと始まらないのかもしれない。少し早歩きをして俺たちも戻ったところで、先生が前方で声を張り上げた。

「片付けが終わって揃ったグループからアスレチックに行って良し!タイムアタックで上位チームは発表する!怪我はしないように!」

言い終わると同時に、桐嶋が「よっしゃ行くぞー!」と叫んだので、先生が念押しで怪我をするなよ!人にぶつかるなよ!と叫ぶこととなった。





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