相当趣味が悪い。
私の席の後ろに座ってる倉持はヤンキーで、笑い方が変で、怖くて、私だったら絶対恋人にしたくない人No.1。付き合うんだったら御幸くんみたいに優しくてかっこよくて素敵な人と付き合いたいと思う。
なのに、そんな倉持に彼女が出来たらしい。
今だって私の後ろの席で携帯を弄ってはヒャハ、なんて嬉しそうに笑っている。
「きっっも」
それが、凄く腹立たしくて、私は後ろを向いて暴言をはいてしまった。
倉持は短い眉毛を寄せてあぁ?と私をにらんだ。
「ンだよ」
「携帯みてニヤニヤしてキモい」
「お前に関係ねェだろ」
そうだよ、関係ないよ。
でも倉持に彼女がいてその子に笑いかけてるのが凄いムカついて……、てか倉持と普通に話しができるのって女子で私だけだったじゃん。
他の女子なんて倉持の事怖がって話しかけて来なかったのに。
彼女と何処であったの何がきっかけで恋仲になる程仲良くなったの。
なんで、こんなにムカつくの。
「……むかつく」
モヤモヤした塊が私の胸の中でどんどん膨らんでいく。
倉持なんて嫌い
大っ嫌いだ
「……あんたの彼女の趣味、相応悪いね」
「……ア"?」
こめかみに青筋を浮かべると倉持は私を睨んだ後、ニヤリと笑ってヒャハハと笑った。
「何お前、さみしーの?」
「なっ」
「ヒャハッ、安心しろよ、俺は優しいからな!お前とも遊んでやるよ」
憎たらしい程の笑顔で笑うと倉持は私の頭をわしゃわしゃと撫でたあと教室をそのまま出て行った。
きっと彼女に会いに行くのだろう。
倉持の背中を見た瞬間私は、待って。そう強く願ってしまった。
そう願ってしまうのはきっとーーー
あぁ、気付きたくなんてなかった。
このモヤモヤも、イライラも、全部
「倉持が、好きなんだ。」
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