短編 | ナノ

キミに溺れて窒息死




スヤスヤと寝息を立てて寝ている倉持の顔はもう大人に近いのにまだ、子供っぽさが残っていて
倉持の事をヤンキーだのなんだの言っている人達を勿体無いなあなんて思いながらツンツンしている髪の毛をそっと撫でた。

「…ん」

寝息が漏れて、なんか、えろい。

手もゴツゴツしてて、男の子の手だなあ。とか、大きくて豆も出来てて、その全てにキュンとくる。

うわぁ〜。私って変態みたい、
うわぁ、うわぁっ

ジタバタ足を動かしていると、倉持の座っている椅子を蹴ってしまった。

「あっ」

「ンゴッ」

ガタン!音と共に倉持のブサイクな声が響く。

「…んぁ?はなこ……?」

「お、おはよう!」

まだ覚醒しきってない脳を必死に動かしながら倉持が私を見る。

おはよ。

そう短く返えすと今何時?と聞かれた。

「もう放課後だよ。17時。長いお眠りでしたね、倉持くん」

「はっ!?おい!部活!!」

あと倉持くんって呼ぶのやめろ!!
吠えられても私はふふーん。と澄まし顔。
倉持はそんな私を怪訝そうに見つめる。

「御幸がね倉持が最近休んで無いって聞いたから。休ませてって。」

御幸の名前を出すと倉持の機嫌が一気に悪くなる。

「オーバーワーク気味、沢村にもオーバーワークはだめっすよ!って言われたんだろ?今日の部活は何とかするからお前は休んでろ。だってさ。」

沢村くんって一年生のあの子だよね。倉持と同室の。
一回だけ話したことがあるけど凄い明るくて真っ直ぐな子だなぁって思ったのを覚えてる。

黙り込んでしまった倉持にため息がでる。
倉持は三年生が引退してからずっと練習ばっかしてる。って沢村くんから聞いた。どうにかしてください。って。
部活が終わっても直ぐに素振りに行ってしまったり、大好きだったゲームも封印したり、プロレスも観なくなったり。

心配なんです。

御幸も、沢村くんも最後には心配なんだ。と言っていた。
私だって、心配。

「…心配、なんだよ。」

呟いた言葉は情けなく震えていた。

「倉持が、好きだから皆心配してる。私だって」

「……」

「倉持、三年生が居なくなって不安なのはあんただけじゃ無いんだよ、それでも皆ちゃんと前に進んでるよ」

ギンッ
の鋭い目が私を、刺す。
お前になにが分かるんだよ。
そう言われてる気がする。

「倉持のそれは、進んでるんじゃなくて、逃げだよ。練習必死にすれば考えなくて済むとか考えてるんでしょ?」

「っ」

「倉持、辛いなら言いなよ、皆居るんだよ、……私だって、見てるだけじゃやだよ。なんの為の彼女なの……?」

「っ、はなこッ」

倉持?

呼ぼうとしたら倉持の胸板に口を塞がれて呼べなかった。

「ごめん」

痛いほど私を抱きしめる倉持は、ずっとごめんを繰り返してた。
私は倉持の背中に腕をまわして、ひたすら撫でてた。

「だいすき、だいすきだよ倉持」

「……おれも。」

「………辛いなら、いってね。」

「おう」

私は倉持の事大好き
大好き過ぎて窒息しそうよ。




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